高齢者に学ぶ
私は仕事柄、若い学生に接する機会が多い。
しかし、また一方でプライベートでは、高齢者と接する機会も多い。
高齢者というのも、私の父親くらいの年齢だから、もう80前後の人たちばかりだ。
基本的には、昭和の時代、戦後の高度成長を支え、今の日本人が享受している様々な社会インフラを作ってきた人々である。
彼らから学ぶことは非常に多く、よくよく話を聞くと、これからの日本の発展のために参考になることも多い。
若者はこのような人々の話を、昭和の時代の古くて、時代遅れの話であり、何の参考にもならないと考えて聞く気持ちもないかもしれない。
戦後の復興や高度成長は確かに時代の産物でもあったが、やはりそれは現在の高齢者の多くの努力や犠牲によって成り立ってきたものでもあった。
その時代の日本人の活力や、公共心や、向上心。またある種のいい加減さや緩さ。そしてまたある種の厳しさなどは、様々な観点から参考になるのである。
また、高齢者から学ぶことは他にもある。
高齢者とは、やがて自分も通る道を、先に歩んでいる人である。
身体機能や認知機能が衰え、一線を退き、もう場合によっては身近だった友人や家族を亡くしてしまっている人々である。
彼らの中にはもちろん元気で現役時代と変わらない活力のある生活を送っている人もいるが、多くは思うように体が動かず、話もできなくなり、感情のコントロールや気分の浮き沈みを抑えられない人もいる。
夜思うように眠れず、不安になったり、また日常生活で色々な人に迷惑をかけて落ち込んだり、自分の衰えに不安を感じたりしている。
そのような人を見て、あるいは愚かで弱い存在だと思い、そのような高齢者を子供のように扱ったり、バカにするような態度を取る若者もいる。
やがて自分も齢をとり、同じような道を歩むことになるのに、彼らはそこに思いが至らない。
高齢者からは彼らの経験という過去の学びと、何より自分の未来を見せてもらっているという未来の学びの双方を得ることができるのである。
だから、高齢者は大切にしなければならない。
学びの宝庫である。
そして直接に話したり、世話をしたり、友人のようになって関わることができたら、若い世代にとって大きな実りを得ることができるだろう。
そのような人々に対する感謝を忘れ、その価値をないがしろにするような行動は厳に慎むべきことと思う。
人間はどのような立場や肩書、そして財産の多寡の違いはあっても、絶対に最後は年齢に抗うことはできない。
高齢者の歩みの軌跡は、あなたの人生に大きな学びと貢献をもたらすだろう。
「高齢者は、若い友人を持ちなさい」と言われることがある。
若い学生のみなさんには「若者は、高齢者の友達を持ちなさい」と言っておきたい。
Share this content:
コメントを残す