犬の遠吠えーインフルエンサーの嘘についてー

犬の遠吠えーインフルエンサーの嘘についてー


最近はさすがに物価高で生活にも影響が出てきており、またこれまでの政治の在り方や経済政策の在り方にも疑問を持つ人が増えてきている。

例えば私が時々批判してきた「財務省」に対して規模の大きなデモが度々行われている。

多くの学生は興味がないかもしれないし、ニュースでも聞いたことがないかもしれない。もちろんテレビではほとんど報道しない。この理由は明確で、メディアにさえも財務省は天下り人材を送り込んでおり、完全にメディアと癒着しているからである。

そして多くの日本の大企業やメディア、そして場合によってはインフルエンサーでさえも、財務省に篭絡されている現状がある。

この財務省デモに対して、非常に有名な「ホリエモン」こと堀江貴文氏が批判の声を上げたのである。

「財務省デモは無駄、そんなことやってる暇あったら努力しろ、お前らが貧しいのは財務省のせいではない。能力と努力が足りないからだ」

簡単にいうと彼の主張はこのようなものだ。しかし、この批判の仕方は彼がいかに社会的な事象の表面しか見ておらず、また日本の政治経済の構造や背景を理解していないかということを露呈している。

一見知的に見えるこのようなインフルエンサーがなぜ、こんな愚かな発言をするのか、考えてみる。

今財務省批判をしている人々の多くは、財務省の緊縮財政と増税路線の国策が日本を貧しくし、日本人を貧困に追い込んでいることを理解している。

これはマクロの経済問題であり、必ずしも個人の能力や努力とは直接関係しない。国家というマクロ規模での日本の没落が多くの人々の困窮と不幸を招いているのである。

もちろん個々人が努力をすべきことは当然であり、財務省デモを行っている人が努力をしていないわけではない。国の大きな経済政策の在り方を批判し、それを改めるよう、財務省に訴えているのだ。

経済をよく知る多くの識者や国民はこの日本の構造的、政策的問題をよくわかっているので、財務省を批判しているのである。

もちろん、政治家が悪いのであって、財務省は政治家に言うことをやっているだけだ、批判されるべきは政治家だ。という議論もある。しかし、それは財務省の実態を知らない議論である。この辺りは、他のところでも述べたし、自分でも調べて欲しい。

一方、この構造を理解していない堀江貴文は、これをミクロの個人的努力の問題に還元しようとしているわけである。社会科学をきちんと勉強していない人間はこのような短絡的な思考に陥る。

また若くて優秀に見える人間ほど、このような思考に陥ってしまうのである。自分は努力して成功したのだ、自分は努力でこの財産や地位を築いたのだ。だから成功せず、所得の低い人間は努力不足であるに違いない、というわけである。

さらに堀江貴文には、まだ大きな問題点があった。

彼はロケットの開発などを手掛けているようだが(それ自体は価値があると思う)、そこに政府の補助金を何億ももらっているのである。彼はある意味では政府に依存し、自分は税金から支援を受けて事業を続けておきながら、納税者である一般国民の政治に対する批判を、努力が足りないバカが騒いでいる。それは意味がない、と言っているのである(堀江氏のロケット開発会社は、来年末までに更に80億円の補助金をもらう(累計160億円)予定になっている、という)。

一種のエリート意識や成功者意識がこのような間違った、そしてゆがんだ認識をもたらす。

個人の努力や能力が大切だ、と言いながら、自分は政府から多額の補助金を受け取る。有名になり、金も名誉も手に入れ、政府も応援してくれる。そのような美味しい立場は手放したくない。

彼は完全に政府の「犬」になりさっがている。お金をくれる政府や財務省の批判などはできないだろう。おそらく彼が財務省批判をすれば、補助金は様々な別の理由をつけて打ち切られるはずだ。

このような犬になった人間の遠吠えに若者は惑わされたり騙されたりしてはならない。

彼はまた恐るべきことに「減税をするとさらに物価が上がって生活が苦しくなる」などと言っている。このような間違った理屈を堂々と動画で配信する。おそらくは財務官僚かそれに近い人間に入れ知恵されたのであろう。

経済学の基礎である「コストプッシュインフレ」と「デマンドプルインフレ」の区別も知らず、他人の言うままに動画を作って流したのだろうと思う。

一般にはこんなことすら学ばないことを「努力不足」とか「勉強不足」というのではないか。

世間には有名人やインフルエンサーと呼ばれる人がいる。それに影響される若者も少なくない。ただ自分で調べて学び、よく考えなければならない。そのような努力を怠り、堀江氏のようなインフルエンサーに容易に騙されているようでは、マスメディアに騙されている高齢者と同じである。

政府や権力の「犬」になっている人間の言論には特に注意しなければならない。これは堀江氏だけではなく他のインフルエンサーや言論人、大学教授、有名タレント、無数にいる。大手企業の代表もそうだし、メディアのコメンテータもそうだ。

犬の遠吠えの嘘を見抜く知性を身につけることだ。あなたの通う大学教授も信用してはならない。自分で可能な情報を集め、書籍を読み、考えよ。真実はどこにあるのかということを。

知識や見識、認識においては、社会的な地位や財産や立場などは全く関係がない。

どんなに貧乏であっても正しく世界を認識できる人はいる。どんな立場に置かれていても透徹した知性と豊かな人間観で、愛を実現できる人はいる。

単純にその人が「知と愛」を求め続けている人であるかどうかの違いである。そしてそのような資質においては人間は全ての人が平等なのである。

人間の魂の本質には「知」と「愛」が埋め込まれている。それをこの世界を席巻するの我欲(今だけ、金だけ、自分だけ)の渦によって曇らせてはならないのだ。

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投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

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