後輩からの相談
「ショパンの会」では毎週末に部室に集まり語り明かす日々が続いた。
私は自分の部屋が狭くて本が置けなくなったので、この部室に本を持ってきて置いたりしていたが、後輩達がその本を借りて読むようになった。
このサークルの学生たちは読書が好きで、お互いに本の貸し借りなどもよくやっていた。その意味では、本当によくこのようなメンバーが集ったものだと、今更ながらに思う。
この頃から、後輩達が様々な自分の抱える問題を私や親友のNなどに相談し始めた。
学生の抱える問題は大人になった今の自分から見れば、本当に些細なことのように思える。
身近な人間関係、恋愛、家族との問題、進路の問題。
今となって、大人の自分から考えればすぐに解決がつくようなものが多いのだが、このような問題を感情的になってくよくよと悩むことがむしろ、学生の特権のような気がする。私自身もそうだった。
大人の「擦れた」自分から見たら、クールに突き放して考えられる問題が、学生時代は本当に大きな問題のように感じられたものだ。
しかし、この「感情量」の多さこそが学生時代には必要だと思う。
感情の中に没入し出口が見つからないような堂々巡りの悩み。
大人から見たら「何でそんなことで悩んでるの」と言いたくなるような悩み。
そこで様々な感情を経験することがきっと学生時代には必要なのだろう。その経験が学生を大きくするのだろう。そしてより多くの人との共感を可能にするのだろう。
今の時代の学生たちにも悩みの中で感性を磨いてほしい。たくさん悩んで、様々な感情を経験して欲しい。やがてはそれが、多くの人と感情を共有し、つながっていくための大切な財産になることを信じて。
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