恋愛について(2)
私が彼女と観にいった映画の題名。「カラーパープル」。
題名ははっきりと憶えているのだが、内容は全く憶えていない。
当然だ。彼女のことばかり考えていて、隣に彼女がいることに緊張し、映画なんて観ていなかったからだ。彼女から感想を聞かれた気もするが、かなり適当な返答をしたことを今でも憶えている。

Nから彼女を映画に誘ってみろといわれて、私にしてはかなりすばやく行動に移した。彼女の返事はあっさりしていた。
「いいですね。行きましょう」
あまりにも簡単に誘いに乗ってきたので、私は逆に不安になったほどだ。これでほんとに脈があるのか。
「嫌いなやつとは絶対に一緒に映画になんて行かない」
Nのこの言葉に励まされて(今考えると都合のいい解釈だが)私は気を取り直した。
その町の一番の繁華街(天文館)のデパートの前(確か三越)で待ち合わせ。
私は貧乏なりに精一杯のおしゃれをして(したつもりで)待ち合わせ場所に向かった。なぜだか今でもそのときの自分の服装をよく憶えている。
どきどきしながら、電車に乗る。
早く着きすぎて楽器店に立ち寄る。意味もなく歩き回り。
そして待ち合わせ場所のデパートの前に。
そこで信じられない光景が目に入った。
「ちょっと待て」
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