大学院入試に挑む
卒業後の進路を決めるための大切な時がきた。
この頃には彼女も私に気を使って、部屋にやってきても少しの時間で帰っていった。
大学院の入試の日はあっという間にやってきた。
私は大学院入試の前日、再び東京の友人の家に泊めてもらった。
そこから試験会場の大学に向かう。前の日は友人も用事があるということで、私1人を部屋に残して出かけていった。
勉強の邪魔をしないためだ。
試験の日は確か2月の半ばか後半。非常に寒い時期だ。かなり早く起きて、冷たい空気のなか電車に乗って大学まで出かけた。
大学院の修士課程の受験者は私の希望する専攻で6人。
この中で合格して大学院に残ることができるのは多くて2名。
ここまできたら絶対に合格してやる。
彼女にも、両親にもいい知らせを届けたい。
そして何よりも、自分の人生にとってはひとつの大きな転換点になるだろう。
試験は英語、民法そして専攻科目の三科目。
緊張感もそれほどではなく、試験はあっという間に終わった。
私は高校受験や大学受験などで試験なれしていて、実力を十分に発揮できた気がした。答案も書き尽くした感があった。
自分としてはやり終えた満足感で意気揚々と友人の家に帰ったことを思い出す。
翌日は面接試験もあったのだが、その内容などはほとんど憶えていない。ただ、私の教養課程の成績表をみて、栗本教授が「君は憲法の成績が(可)じゃないか、大丈夫か?」などと言われ、それに対して私は「ああ、それはまだ学問に目覚める前の成績ですから」と答えたことだけはよく憶えている。
この面接もそれほど答えられない質問もなく、やや形式的だったような気がしている。
合格発表は数日後。だったと思う。その間は東京に残り、合格発表を確認してから鹿児島に戻る予定だった。
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