別のゼミにも参加する
私は「法社会学」という、ゼミ員が私1人しかいない寂しいゼミに所属していた。もちろんこれはこれでメリットがあったのだが、なにせ他の学生との接触がない、議論や討論もない(ただ先生とのマンツーマンの濃密な対話があった)。
これでは同級生の仲間もあまりできない。
そう思って「法哲学」のゼミに特例で入れてもらえないか、と教授に相談した。教授は「法哲学」の先生がOKなら大丈夫だといわれた。例年、学生は1つのゼミに所属することが決まっており、2つのゼミに所属などという学生はこれまでいなかったようであった。ただ、単位という意味での所属ではなく、聴講や参加という形を希望していた。「法哲学」での卒業論文は書かない。
そこで、私は思い切って法哲学の研究室を訪ねた。
法哲学担当の先生は「勉強したかったら参加しても全くかまわない」とのことだった。
これで少しは同級生の仲間もできるし、人間関係が広がるだろうと期待した。
法哲学のゼミの日がやってきた。
研究室に行くと女の子が1人座っていた。
「え、このゼミもゼミ生がまさか一人?」
悲しいことに法哲学のゼミもゼミ員が1人だったのだ。
愕然・・・この女の子は他のゼミの所属である私が、わざわざ別のゼミにまで勉強しに来ているなんてすごい、と何度も言っていた。
私は返す言葉がなかった。この子1人か・・・
この時代、哲学や社会学などという実社会で役に立つかもわからない科目に興味をもつ学生がいかに少なかったかを物語る話だ。みんな就職に有利な、そして実用的な科目に惹かれてゼミを決める。
私は自分が一般的に大学においては少数派であることを今さらながらに実感した(確か、このとき同じ法学科の同学年は110名。人気のゼミでは20名くらいの大きなゼミもあった)。
しかし、私は前例のない形ではあるが、二つのゼミに所属して勉強することになったのである。
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