電車の中で勉強する
通学時間が非常に長かったので自然と友人のマンションでの勉強時間は少なくなった。
東京の電車はいつも混んでいて、なかなか座席に座れない。
二時間ほどの通学時間だが往復で四時間ほどの時間が通学で奪われた。
この四時間を勉強の時間に当てなければ、大学院での研究や自分での様々な勉強がなかなかできない。
とにかく電車の中で読書や勉強をしようと決めた。

大学院での授業自体はさほどきついノルマや課題があるわけではなかった。
しかしそれは、自分でしっかりと研究や勉強をしていかない限り、自分の将来の道が開けないことを意味していた。
私は一応この時は、大学で研究者を目指そうと思ったが、学問を自分の仕事にすることについては、どこかで違和感をもっていた。
もっと違う世界が自分にはあるのではないか。
ただ、大学院で学んだだけの意味のある進路を考えなければならないと思っていた。
とりあえずはこの二年で修士号を取得して大学院を修了し、次につないでいかなければならない。
電車の中での猛勉強が始まった。
語学、読書、専門の勉強。電車の中で立ったまま、色んなことを勉強した。
マンションに帰ると、友人がいるときは二人でとりとめもない話をした。
フリーターをしていて毎日働きまくっている友人と一緒にいるときは、何だか勉強しにくい感じもあり、また彼からいろんな話を聞きたかったということもあって、友人の部屋ではあまり勉強はしなかった。
私の周りで、大学院の聴講生になっていた学生も、そしてこの友人も、年齢は私と同じかそれよりも上だったが、定職についていない人間ばかりで、これがまた東京らしさでもあった。
田舎では大学を出た後に(あるいは中退して)アルバイト生活などをしていると、ドロップアウトしたような目で見られることが当時はあったが、東京ではそんなことは誰も何も思わないのだ。
その意味では自分の生き方やあり方を考える材料としても、環境としても、私にとっては適した環境だったと言えるだろう。
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