肉体労働
大学院に進学してから、普段の生活では体を動かすことが少なくなった。
大学院には基本的にサークル活動などがなく、学究中心の生活になってしまう。
このようなアンバランスな生活から私を救ったのは、友人の紹介?ではじめたアルバイトであった。土曜や日曜にこのアルバイトをやったのだが、ほとんどが肉体労働で、体を動かす仕事ばかりだった。
そのアルバイトとは「便利屋」さん。引越しや掃除はもちろん、壁紙貼りや庭の手入れ、家具の移動や運搬、はたまた浮気の調査や探偵のようなことまで。
基本的には頼まれれば何でもやった。

従業員は社長(Kさん)とその奥さんだけで、あとは「アルバイト」であらゆる仕事の全てをやるのである。
社長からは「客から頼まれたことをできないと言ってはいけない」と言われていた。
おかげで大学という狭い世界からではなく、色々な人との出会いや仕事のなかで自分のあり方や学問のあり方などを考えることができた。このような仕事は多くの人々の生活世界を垣間見ることができるものだ。
仕事そのものは大変だったが、毎回仕事をやり切った感があって、達成感は感じられる仕事だった。
そして、非常に体力が要求される仕事だったので、私の体はどんどん鍛えられ強くなっていった。
肉体の疲れが勉強の邪魔になったこともあったが、長い目で見れば、このアルバイトのおかげでどれほど大学院での生活が実りあるものになったか計り知れないものがあったと思う。
最初は生活費を稼ぐために望まずにはじめたアルバイトだったが、思わぬ効用があったのである。
何かの本に「頭を使う仕事をするためには努力して体を鍛えよ」と書いてあった(確か渡部昇一の本だったか)が、この言葉は真実であり、私も強く実感している。
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