経済学を学び続ける
学生時代をいかに生きるか ―専門学校教師編―その11
この専門学校が、当時(今は不明)完全担任制を敷いており、一人の担任がそのクラスで必要とされる科目をすべて教えるというかなりチャレンジングなスタイルをとっていることはすでに述べた。
私にとっては、法律はともかく、経済学は当初は、なかなか難しかった。今でも公務員試験を受験する学生の多くは、文科系の学生が多いこともあるが、この経済学の修得には苦労するようである。それは私にとっても同様であった。
当時は、マクロ経済学は中谷巌のマクロ経済学の教科書が使われており、ミクロ経済学は、確か、倉沢資成の「入門価格理論」が使われていた。私は、何故ミクロ経済学なのに、「価格理論」なのか、と他の先生に聞いてしまうほど、経済学には無知であった。
今は予備校なども含めて、公務員試験用のわかりやすい教材が無数に出ているから、難しいとはいえ、ずいぶんと勉強しやすくなっているはずである。今の予備校などの教材をみると本当にわかりやすい。
私は、学生時代に経済思想には関心があったのだが、グラフや数式を駆使する経済原論にはかなり苦労した。しかし、そうであるからこそ、学生のつまずきも理解できるようになったと言える。
数年後には、学生に何を質問されても基本的には即答できるようになったが、それも学生の質問を含めて、自分でも自宅で勉強を重ねた成果でもあった。微分の意味や偏微分のやり方を理解したのも、経済学を学んだからで、それまでは微分の意味すら知らず、その計算すらできなかったのである。
このように、自分が専門ではなかった科目を強制的に勉強せざるを得ない(授業せざるを得ない)この専門学校での担任業務は、その後、無数の恩恵を私にもたらしたと言える。
しかし、実際の経済の動きや流れは、このように専門で学ぶ内容ではとてもとらえられないものになっているし、公務員試験の経済学の在り方も、もっと時代に応じた変化があったほうがいいようにも思う。私はこの学校での仕事をきっかけに経済学を幅広く学んで、すでに教科書に書かれていることが必ずしも、正しくないということも理解できるようになった。
公務員試験の勉強をして、いわゆる経済原論を学んだ学生たちは、公務員になっても、あらたな経済理論や財政理論、貨幣理論などを学んで、本当に国のためになる考え方をしっかりと身につけて欲しいと思っている。
公務員試験は、学習すべき科目の幅が広いが、その試験勉強で学んだことをきっかけにして、国や自治体のためになる学習を自分でしっかりと続けて欲しい。教え子たちにはそう願って止まない。
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