渋谷での勉強会(目的のない勉強)
同じゼミの聴講生から、土曜日に勉強会をやることになったので、一緒に参加しないか、と誘われた。
通常大学の中だけで生活していると世界が狭くなるので、私はチャンスがあればどこにでも出かけていくことにしていた。
場所は渋谷の喫茶店。確か道玄坂にある「ライオン」というお店だったと記憶している。クラシック音楽が流れる、うす暗い、静かな空間。
薄暗い店の地下に、広い会議室のような場所があって、そこでいつも6~8人くらいのメンバーが集まって、英語のテキストを読んでいた。
栗本教授が生命論のような内容の本を書いていたのがきっかけで、東京大学の学生などが「バイオ ケミカル」という英語の本を読むための勉強会をやっていたのである。ここのメンバーは、みんな栗本教授の本をよく読んでいる人たちばかりだった。
すでに社会人の人や他大学の学生や、フリーターのような人まで、今考えると何のために勉強していたのかよくわからない集まりだった。
ただ私は、何の目的もなく「勉強のために勉強する」というような時間もありかな、と考えていた。
勉強会が終わると渋谷の居酒屋でみんなで飲んで、色んな話をした。結局はこの時間のためにみんな集まっていたのかもしれない。
この時代、アカデミックなことがひとつの学生のファッションやスタイルだったのかもしれない。
今の大学生はどうであろうか。このような勉強会を行っている学生は今もいるだろうか。
学生が自主的に集まって、全く課題や宿題などとは関係なく勉強している風景は本当の意味での「学生らしさ」を感じる。
今の大学生にこの「学生らしさ」を取り戻すことは非常に大切なことではないだろうか。
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