沖縄を蝕む「補助金中毒」の真実 ー山城幸松ー
私の沖縄体験は20代に遡る。
便利屋さんのアルバイトで、沖縄の電波支局の機械の工事の手伝いをやった時である。
その仕事の内容などはさておき、その時に1週間ほど滞在し、仕事のない日に沖縄の観光名所を巡った。
初めて行った沖縄の海や多くの名所は美しい記憶として残ってはいる。しかし、ただ一つの違和感。「ひめゆりの塔」に行ったときだったと記憶している。
観光名所とあって、そこには土産物屋が軒を連ねていた。
平和を祈念するその場所でなんと「機関銃」や「手榴弾」のおもちゃが販売されていたのだ(当時)。
もはやどこにでもある光景なのだろうが、当時の私には、沖縄の悲劇の象徴であり平和を願う場所で、武器のおもちゃを販売するその無神経さに、違和感を覚えたものだ。
そして、この本に書かれていること。
それは簡単に要約すれば、沖縄の米軍基地反対運動は、国から多額の「補助金」をたかるためのポーズに過ぎないということだ。
現実は沖縄は米軍基地があることで潤っている面がありながら、その反対運動をしてゴネることで、いかに多くの補助金を国から引き出すか、という駆け引きに使われている。
つまり、反対運動が実を結び、実際に米軍基地が沖縄からなくなってしまえば、沖縄経済は確実に破綻するということである。
沖縄の知事をはじめ多くの政治家はそれを重々知っていながら、基地反対を叫び、ポーズとして政府に対して被害者を演じ、アメリカに出向いたりして、全く本気でない「旅行」に県民の税金を使っているということである。
このような本を読むだけでも、政治や経済、国と地方、外交などの現実が見えてくる。表向きの情報だけに囚われていると、沖縄は米軍基地の被害者であり、その反対をしているが、日本政府が沖縄に犠牲を強いているのだ、というお決まりの図式に騙されてしまう。
実際に沖縄に支払われている補助金は、沖縄県民一人当たりにすると年間400万円にもなるという。
それだけで十分に生活できてしまう金額にもかかわらず、沖縄県民の所得は低く、貧しい。
そのお金は、一体どこに流れているのか。
このような様々な現実が、この本を読むと理解できることだろう。
沖縄がこのような補助金中毒の現状を続ける限り、沖縄の真の自立はありえない。
また、政治家も、いかにうまく補助金を引き出すかが仕事になっており、本当に沖縄の発展を可能にする政治的手腕やビジョンなどは要求されないことになる。
厳しい言い方になるが、歴代の沖縄県知事をみると、本当に沖縄の発展や成長を目指した政策は、ほぼ皆無であることがわかると思う。
沖縄は独自の文化や歴史、観光資源を有しており、政治家が本気で取り組めば、大きな成長や発展が可能になる地域である。
この本には、今後沖縄を真に発展させるための様々な提案もなされている。
沖縄の問題は沖縄だけの問題ではない。日本国の問題として非常に重要であると思う。
しかし、まずは地元の県民が、このような事実を前提にして、この補助金中毒の現状から抜け出し、発展のための努力を、責任をもってなしていくべきだろう。
何をするにもお金は大切だ。しかし、沖縄だけではなく、多くの日本人が、お金に惑わされ、左右され、本質を見失うことで、むしろ不幸を作り出していることに、うんざりした気持ちになる。
このような風光明媚な自然環境のある地域の中に、金をめぐる欲望と利権が渦巻いている。
美しき日本が、様々な欲望で蝕まれている象徴が、この沖縄なのだ。
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