東北人大富豪の教え(1)
私を政治の世界に誘った友人が今度は「ただで旅行をしましょう」と言ってきた。彼はこのように、私に「お得な」情報をいつも持ってくる人だった。
いつも私を様々な場所に案内してくれるので、今度はなんだろうと思った。
彼は「福島に財界で名の通った人物が住んでおり、その人の所に遊びに行こう」というのである。
どんな縁でそんな人物を知っているのかと思うほどにこの友人は色んな情報を持ってくる。
そんな人に会えるのならと、私を含めて5人ほどで出かけてみることにした
(私の大親友の女性とその友人も一緒だった)。とにかくみんな好奇心の塊みたいな友人ばかりだ。
連休を使って二泊三日の旅行である。交通費、食費全てはその人物が提供して私たちを招待してくれるのだという。そんな都合のいい話があるのかと思うが本当だった。
十分な資産を持っている人は、若い人間と話をしたり、若い人間を育てたりすることが好きなものだ。彼らはもうお金のために働く必要はない(私はその後も何人もの、このように若い人を育てたいと考えるお金持ちと出会うことになる)。
自分が得たものを若い私たちと分かち合おうという気持ちはとても素晴らしいことだし、非常に嬉しかった。
新幹線にみんなで乗り込み、ピクニック気分で出かけた。
その大富豪の所に着いてみてびっくりした。
広大な敷地にお屋敷が建っていて、その一部に私たちが宿泊できる建物があった。その建物は若い人間を招いて様々なことを教えるためだけに作られた建物である。十人以上が宿泊できる広さだ。また私たちの食事を作るために近所のおばさんがやってきていて三食作ってくれた。
お金があれば、このようなことができるのだと思って、この時にお金持ちになることの意義を強く感じたものである。お金とはこのようにして使うのだということも。
そこで学んだことは全てを伝えることは難しいが、その大富豪から私は二つのことを教えてもらったと思っている。
ひとつは「職業」についてだ。
その大富豪を囲んでみんなで様々な質問をした。逆にその大富豪も私たちに様々な質問をされた。
その中で「将来どんな仕事をしたいと思っているか」という大富豪からの質問があった。
参加者の一人が「父親が亡くなり、まとまったお金が入ったので、株式投資で生計を立てていきたい」というような話をした。
この話をしたのは、私をここに誘ってくれた当の彼であり、その彼が定職につかずに、好きなことをやっていた理由が、これでわかったわけである。
そのときの大富豪の返事を私は今でもよく憶えている。
Share this content:
コメントを残す