日本人のための憲法改正入門(8)

日本人のための憲法改正入門(8)


日本国憲法の三大原理について考える前に、日本の「国体」について少し考えておきたいと思います。

「国体」などという言葉を使うと、いかにも古めかしい、時代遅れの感覚を抱く方が多いかもしれませんが、この「国体」というものは、日本の国のあり方や国民のあり方を考える時に、非常に重要な意味を持ってきます。

国体の定義について、「国体の本義」(昭和12年に文部省から発刊)には次のような記述があります。

「大日本帝国は、万世一系の天皇、皇祖(天照大神)の神勅を奉じて永遠にこれを統治し給う。これ、我が万古不易の国体である」

これを読んで、どのようなイメージや感想をもたれるかはともかく、これが国家が公認した日本の国体の定義だったわけです。

ここから、天皇主権などという誤解した解釈をして、古めかしいものだと考える人がいます。皇室そのものが日本の国体であると誤解している人も数多くいて、これが日本がなかなか次の段階にステップアップできない理由になっていると思います。

これはいわゆる右翼と呼ばれる人、そして左翼と呼ばれる人、また無関心な国民も、さらに保守を名乗る人びとも陥っている大いなる誤解だと思うのです。

日本の国体は「天皇制」ではないし、「皇室」そのものにあるわけでもありません。

私は、この国体の定義から、次のような日本国にとって重要な要素を抽出できると思います。

一つは万世一系などの言葉にあるように、「歴史の連続性」です。日本は開闢以来いちども他国からの侵略や支配を受けたことがなく、連綿と歴史をつないでいます。国家が崩壊したこともなく、長い長い歴史を持っているのです。それは他国にはない優位性でもあり、日本の優れた点でもあると思います。

そしてもう一つは「宗教性」です。天照大神などの言葉もありますが、神勅という言葉に現れているように、日本は神々の言葉や神々の心を忖度して国を統治する(今の政治家が金や権力に忖度するのとは次元が違います)、ということを為政者に課してきた国です。それはこの世界に生きている人間だけの意思で、国家のありかたを決めるのではなく、先祖や神々の心を忖度する謙虚さや心の美しさを為政者に求めているということなのです。

現在ただ今を生きる人間の意思だけに従って政治のありかたを決めてしまえば、そこにはこの世の利害や欲得の絡んだ判断や政策の決定がなされてしまいます。

そのようなことにならないように、神々や死者(歴史)の声を聞くという謙虚さで為政者を戒めたのが、その本質なのです。

日本の国体の本質は、この「歴史性」と「宗教性」にあるのであって、天皇はそれを象徴し表現するものとして日本の国の中心に置かれているのです。そして、この二つの側面を統合するためには日本の神話に目を向ける必要があります。これについては機会を改めて述べたいと思います。

その意味ではもし、皇室がこの「歴史性」や「宗教性」を失ったとしたら、もはや事実上日本の国体は崩壊したと言ってもいいのです。

国体の本質をこのように「歴史性」と「宗教性」に求めた場合、日本の国体を守り、保守し、それをさらに発展させるために、どのような国家にすべきなのか、皇室の在り方にも配慮しつつ、またいかなる憲法にすべきなのか、それを考えていく必要があるでしょう。

私の述べる国体の本質は、おそらくは現段階の日本においてはまだなかなか受け入れるところにはならないかもしれませんが(というより右翼からも左翼からも攻撃されそうな内容ですが)、この本質を損ねることなく、国家を構想し、憲法を作成していかなければならないと思います。

日本の国体が優れている理由は、この「歴史性」と「宗教性」にあるのだということです。日本の国体が尊いのは、連綿と過去から未来へと歴史繋ぎ、国家を創造してきた数多くの人びとの営為に価値があり、また、国民に神々を祭り信仰してきた謙虚さや奥ゆかしさがあり、そこに高潔さがあったからです。

このように国体の本義から、その本質的な要素を抽出した場合に、それを守りながら現代の憲法の原理を新たに再解釈し、再構築していく必要があると私は考えています。

日本の憲法はその前文にあるように、敗戦によって一旦歴史が断絶し、戦後新たに(社会契約的に)作られたような構造になっています。また憲法や政治から宗教性を排除していますが、実はこれが日本の国体の本質を大きく損ねるものになっていることは言うまでもありません。

私はその部分を変えて、日本の国体の素晴らしい本質を表現した憲法を作るべきだと思います。

次回からは、そのような観点を前提として、現憲法の内容に分け入って見たいと思います。

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投稿者:

山道 清和

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