新たな経験、新たな自分
間奏曲―フリーターの時代―その10
自分の道を見つけるためには、様々な経験をしてみることは大切なことだ。
経験には限界もあるが、経験することで学ぶことは非常に多い。実感を通じた学びは経験の中にしかない。
私が経験を通じて学んだことは、様々な知識やスキルだけではない。
経験の豊富さは、自分の中に実に様々な面があることを教えてくれるのである。
つまり経験の豊富さは、自分のもつ様々な側面(才能、限界、可能性など)を理解することにつながるのである。
自分の得意なこと、不得意なこと。自分の好きなこと、嫌いなこと。自分の心の傾向性やクセ。やっていて楽しいこと、そうでないこと。自分に合うこと合わないこと。これを知ることは、自分をより深く理解することそのものだ。
このような意味では、どんな経験でも若いうちはやっておいた方がいい。いや、どんなに歳をとっても、経験することをやめてはならない。決して、その価値は失われないだろう。
与えられた仕事は何にでもチャレンジし、それが成功しようと、また失敗しようと、それを機縁として、自分というものを本当に深く理解するといい。
例えば、学生時代が終わって、思うように就職できない、就職できても、やりたい仕事ができない、不満の多い職業人は少なくない。確かに転職などをして環境を変えるという考えもあろう。
しかし、腹を決めて全てを受け入れて、何でもやってみるという考えもある。
与えられた環境を一旦全て素直に受け入れて、一定期間は可能な限り全力でチャレンジしてみるといい。
また、もし就職できなかったならば、それもまた幸いだと考えて、たくさんのアルバイトを掛け持ちしたり、できる限り多種多様な仕事をやってみたりすることも、きっと将来に向けた貴重な種まきになるはずだ。
その時に蒔いた種が、一体いつ芽を出し、花を咲かせるのか。
それは誰にもわからないかもしれない。いや、ひょっとしたら、ずっと芽なんて出ないかもしれない。それでも種をまく人であり続けなければならない。
それでも毎日、せっせと仕事をこなし、経験を増やし、学び続けることで、未来は大きく変わっていくのだということを信じることだ。
生きていくことは様々な経験の中から珠玉の価値のあるものを取り出す作業に似ている。
どこに宝物が埋まっているのか、誰もわからない。しかし経験しなければチャンスは与えられず、探さなければ、決して何も見つからないのである。
Share this content:
コメントを残す