当時の就職について
この時期世間は好景気に沸いていた。
学生の就職先はいくらでもあって、多くの学生たちは、ほとんど何の苦労もなく就職先が決まっていた。
私の大学での同級生たちの就職先に関する情報も時々聞こえてきていた。
この当時の学生たちは多くの企業をまわることもなく、どんどん就職が決まっていった。
日銀をはじめ、都市銀行に就職するクラスメイトも少なからずいた。
証券会社や建設業界の企業が学生を囲い込むのに必死になっていた時期だ。就職してくれた学生に車を一台与えたなどという話も話題になったりしていた。
そんな中で私も卒業後の進路を明確にしなければならなくなった。
私は民間企業で働いている自分の姿をイメージすることができず、ほとんど就職活動はしなかった。
自分が何をするべきかが全くわからなかったのだが、今考えると社会に出て人並みに仕事をしていく自信がなかったのだろう。
組織に入って働くことを「束縛」のように考えていた面もあった。
しかしこれは単に「モラトリアム」に過ぎなかっただろう。その意味ではきちんと就職していった同級生の方がはるかに私よりも社会性があり、現実的であり、優秀であったと言えるのかもしれない。
この時点で私には、フリーターになるか、大学院に進学するかどちらかの選択肢しかなかった。
どちらも社会人として働いていくことを拒むための選択肢に過ぎなかったようにも思える。妥協してまで就職するということに対して、それを受け入れられなかった当時の私は、本当に青臭く、子供の域を全く出ていなかったのかもしれなかった。
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