引きこもる

秋になると私はますます読書や思索に夢中になった。
たくさんの出会いを求めていろんな人と話したり、かかわったりしているうちになんだか疲れが出てきたのだ。サークルに出たりしても、先輩に気を使い、周囲に合わせることに気を使い、自分を失っていった。
多くの人とかかわる以前に「自分」ができていなかったのだ。
人付き合いがやがてさらにむなしくなり、むしろ苦痛になってきた。
サークル活動も好きなことを始めたはずだったのに、次第にどうでもよくなってきた。
サークルや同じ学部の学生では、なかなか自分が心を開いて話し合える人を見つけることはできなかった。本音で話せていないという気持ちが私を息苦しくさせていた。
自分の考え、人生観、価値観そのようなものをきちんと構築しなければ人とかかわるときも正面からかかわることができない。
何が正しくて何が間違っているのかわからない。
自分は将来どんな職業に就いて、どんなことをすればいいのか。
このような疑問にはこの段階でもある程度の答えが必要だった。
司法試験の勉強は続けていたが、法律に答えは書いていない。
もちろん誰も教えてはくれない。
自分で考えるしかないのだが最後は読書だけをよりどころとした。書物からたくさんのヒントをもらおう。
本当に心から話し合える友人を持とう。表面だけの付き合いはやめよう。
そう決めた。
1年生が終わろうとしていた時期には、入っていたサークル活動を二つともやめてしまった。
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