就職して給与はどうなるのか ―お金のインテリジェンス入門編(その1)-
多くの学生の皆さんは、これからまずは就職活動をやってどこかの企業に就職しながら、少しでも豊かな生活が送れるようになりたいと考えていることだろう。就職することそのものについては、別の機会に述べるとして、まず就職することを前提にして、お金のインテリジェンスを考えてみよう。
そこで気になるのが、現在の若者の「給与」はどうなっていくのかということだ。これはマクロな経済の動きや傾向を抜きにしては語れないが、今の日本の現状が大きく変わらない限りは、日本人の所得は横ばいか低下していく可能性が高い。
悲しい話だが、国際比較を見てみよう。日本と諸外国のサラリーマンの初任給の比較である。日本は260万円程度で、これは韓国以下の水準(韓国は300万円程度)。アメリカは640万円程度、ドイツは530万円くらいで、スイスなどは800万円くらいになる。いかに日本だけが貧しい国になったのかがよくわかる。先進国や新興国も含めて、経済成長していないのは日本だけだ。
実際に、この30年、日本人の所得はほとんど増えていない(可処分所得は減っていると考えていい)。これは別のところでも述べている通りであり、その原因にも言及しているので、興味のある人は学んでほしい。ただし、日本がどうであれ、成長分野は間違いなくどんな時代にもあるわけだから、簡単に言うと給与の格差が大きくなる時代になるということになる(ただし低所得者が増える)。
例えば、就活塾などで「ホワイト企業」や「優良企業」「人気企業」などに就職することを強く勧めているところは多い。それは理由のあることであって、現実的に考えると大企業やホワイト企業として評価を受けている企業は、やはり給与も高く、福利厚生が充実していることは間違いないことだ。
そのような観点から、就職は優良大企業を目指すというのは賢い選択であると言える。もちろんベンチャー企業や中小企業にもいい企業は無数にあるのだが、安定性や将来性の確率論としては、優良大企業に就職できるなら(そしてあなたがそれを望むなら)それを目指すべきである。
そのような企業をしっかりと調べて、十分な就職活動の準備を行い、チャレンジするといいだろう。このような企業は倍率も高く、受験してくる学生もレベルが高い。また学歴フィルターも存在しているから、それを踏まえて早い段階から十分な準備が必要であることだけは確かなことだ。
そのような企業を見極めるには、「就職四季報」などを使って、企業の公開情報をしっかりと調べることが必要だ。平均給与額や、3年後の離職率など様々な情報が掲載されている。これは就活には必須であると言える。また、上場企業であれば(多くのホワイト企業は上場企業だ)その会社の決算書を見ることで、経営状況を把握することができる。これから会社に勤めるのであれば、会社の決算書などを読む力は身につけておいた方がいいだろう(主に貸借対照表が読めればいい)。
そのような情報をもとにして、まずは給与を得るための就職先を探すことになる。ただし、どのような企業も浮き沈みは必ずあるもので、そうでなくても給与が今後大きく上がるということはなかなか起きないことだと考えて、その会社以外でも通用する汎用的なスキルや能力を身につける努力は忘れてはいけない。
一つの会社にずっと勤めたいと考える学生が多いことは、アンケートの結果から明らかであるが、転職を余儀なくされたり、自分から進んで転職したりする可能性は、絶えず頭の中に置いておかなければならない。むしろそのように考えてこそ、その会社でも一生懸命に働き実績を上げたり、多くのスキルを身につけたりする意欲につながるだろうと思う。
最終的には、どんな企業に就職しても、まずはそこで自分の給与を上げる努力をしていくことが、所得を増やすと同時に、どこに行っても通用する人間になるための必要な行動であることは忘れないようにして欲しい。
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