孤独からの出発
毎日のように彼女と話をし、親友のNともお互いに語り合っていても、自分の歩く道を共にすることはできない。私の道は私しか歩めない。ずっと共に誰かと歩むこともできない。
Nは無事に民間企業への就職の内定を勝ち取り、彼女はまだ1年生。
私はあと半年もたたないうちに卒業し、違う道を歩く。
こんなにも分かり合っているのに、同じ道を行くことはない。
私はこの時期、言いようのない孤独感に襲われていた。
どんなに親しい友人でも、同じ道を歩くことはできない。
どんなにお互いを語り合った仲でもいつまでも一緒にはいられない。
何かの本で、「親友とは本当の孤独を教えてくれる人である」という記述を読んだことがあった。
その意味が分かった気がした。
自分が歩む道を一生共にできる人間はいない。どんなに心の底から分かり合っているようであっても。
この孤独を自覚することは自分の人生に責任を持ち、自分固有の人生を生きるという覚悟を決める意味で大切なことだ。
表面だけ群れていたり、孤独を恐れたりしていてはこの自覚は生まれない。
この言いようのない「孤独感」から私の本当の人生は始まったと思う。
自分は誰とも代替できない、かけがえのない存在として生まれている。
自分にしかできないことがある。あるいは誰にでもできるようなことでも、ほんの少しだけ自分らしさを付け加えて世の中にリリースすることができるはずだ。
そのほんの少しの自分らしさの集積こそが、私が生まれ、生きる価値なのだ。
自分を粗末にしてはいけない。自分の人生の軌跡は全てがオリジナルなものだ。
そんな自分を理解してくれた親友のNや彼女のお陰で、私は自分に自信が持てるようになっていった。
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