公務員クラスの副担任となる

公務員クラスの副担任となる


学生時代をいかに生きるか ―専門学校教師編―その3

新入職員研修が終わり、しばらくすると今度は、「12月1日から、公務員クラスの副担任をやるように」という指示があった。

いよいよ、学生たちを相手にする仕事だ。クラスに入らなければならなくなったのである。11月は研修やら何やらで、結局じっくりと勉強もできないままにクラスに入らなければならないのであるから、全く急な話であった。

私は、急いで経済学の勉強を加速させた。仕事の帰りに高円寺の駅で降りると、北口の高架下にマクドナルドがあった。そこで夜遅くまで粘って経済学の勉強をしたのである。

正直に言って、基本的な概念が理解できていなかったので、なかなか理解に苦しんだ。今ならスッキリとわかるのだが、当時はなにせ基礎ができていなかったのである。初めて学ぶことにはなかなか難渋するもので、毎日少しずつ勉強を進めていった。

しかし、時のたつのは早いもので、あっという間に12月1日を迎えてしまった。

私が副担任に入ったクラスは、公務員Ⅱ種中級コースの1年生のクラスである。1年生とはいっても、専門学校は基本が2年制だから、来年はもう受験なのだ。その当時はこのⅡ種中級クラスがなんと13クラスもあり、上級クラスという別のカリキュラムのクラスも3クラスほどあったと思う。私が入る予定のクラスは、学生数が68人もいた。

こんなに多くの学生が公務員を志望しているのか、と意外に思った記憶がある(私自身は、自分の職業の選択肢として、公務員を考えたことは一度もなかったからだ)。教室には学生が所狭しと着席している。最初に教室に入った時は、自分に注がれる多くの学生からの視線に恐怖すら感じたものだった。

担任の先生は、M先生と言って、非常に優しい先生だった。ときどき学生に厳しく接していたが、私への物腰も丁寧で、この先生に悪い感情を持ったことは一度もなかった。12月1日に、教室のある校舎のフロアに上がり、初めて教室に入った。黒板の脇の丸椅子に座って、朝の時間を迎えた。学生たちは物珍し気に、私の方を見ている。学生の出席を取り終えたところで、担任の先生が私を紹介した。

生まれて初めて教壇に立って、高いところから学生と対峙した。ここから見ると、学生の様子は確かに一望できるのである。その時の学生の座席で、今でも誰がどこに座っていたのかある程度の記憶があるから、自分にとっては最初の印象が大きかったのだと思う。

私は自分のことをどう紹介したのか、全く記憶にない。緊張が大きかったので、かなりいい加減な自己紹介をしたと思う。

朝の授業は、民法の債権法(総論)であった。専門学校に入学して、1年生のこの時期に、民法のこの分野の授業をやっているということが、大学と比較しても、いかに授業の進みが早いかがわかる。

この学校の基本的な授業のやり方は、説明は担任が全て行うが、あとは演習を中心にするというやり方だ。しかも学生がグループを組んでお互いに教え合うのである(今でもゼミ学習という名で続いているはずだ)。

今でも私は、この授業形態は、非常に素晴らしいものだと思っている。私自身はこのやり方が、多くの教育機関での通常の授業のやり方になったらいいのではないかと考えているくらいだ。

初日の授業は、担任の先生の授業を横で見学し、一日の流れを確認する形で終わった。

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投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

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