恋が終わった二十歳の夜
「私にとって、先輩は先輩ですよ」
これが私の告白に対する彼女の言葉であった。
簡単にして明瞭。全てを言い尽くしている。
むなしく電話の受話器を置いて、電話ボックスの外に出た。Nは私にとりつく島もなく、ただ黙って一緒に歩いてくれた。
悲しいというより、寂しさが私の心を支配した。
嫌われたわけではないのだが、受け入れられなかった寂しさ。
ただ、この彼女の言葉は非常に明確で、私に誤解の余地も与えなかった点、彼女はこのような場面を何度も経験してきたのかもしれなかった。
こうして大学における最初の恋愛はあっさりと終わった。
今振り返って思うのは、この恋愛で私はあまり成長できなかった、ということだ。そもそも彼女を好きだと思った、その「好き」の内容は何だったのだろう。
一体私のどこが、何が好きなんですかと聞かれたら。私は答えられただろうか。
相手の心の中にほとんど踏み込むことができず、したがって自分の心の中にもほとんど大きな変化など起きることなく終わったからである。感情の起伏だけが私を動かしていた。
本当に表面的な、感情のみの恋愛だった。その意味では、彼女に対しても大変失礼な恋愛だったと言っていい。
おそらくは多くの学生たちはこのような恋愛を今でも数多く経験し、テレビのチャンネルを切り替えるようなテンポの速さで、異性の間を通り過ぎているのだろう。か?
しかし、この1年後、自分の内面を大きく変える恋愛に遭遇することになるとは、このときの私は知る由もなかった。
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