何故、今日本なのか(5)

何故、今日本なのか(5)


レヴィ・ストロース。この人物の名前は、哲学や人類学などを学んだことのあるものならば知らないものはいないだろう。

人類学者であるが、構造主義の草分けであり、西洋近代というものを相対化して西洋中心主義への批判の視点を作った人物であると言ってもいい。

日本人はいまだに欧米に対するあこがれのようなものを持っている人は多いし、日本社会は政治も経済も欧米追従型となっている。

しかし、このレヴィ・ストロースが日本について、このような言葉を残している。

「民俗学者、文化人類学者として私が非常に素晴らしいと思うのは、日本が、最も近代的な面においても、最も遠い過去との絆を持続し続けていることができるということです。私たち西欧人も自分たちの根があることは知っているのですが、それを取り戻すのが大変難しいのです。そこにはもはや乗り越えることのできない溝があるのです。その溝を隔てて、失った根を眺めているのです。

だが、日本には、一種の連続性という絆があり、それはおそらく、永遠ではないにしても、今なお存続しているのです」

このように述べているのである。レヴィ・ストロースは日本の神話も研究しており、「古事記」や「日本書紀」についても、世界の神話の集大成だと賞賛し、その完成された姿に驚嘆するのである。

そして、西欧こそが日本文明に学ぶべきことがあることを示唆する。

西欧文明は新しきものを取り入れる時に、古いものを壊したり捨て去ったりするが、日本は違う。

レヴィ・ストロースの言葉を借りれば、日本は、「借用と総合、混合と独創」を行うのである。

そしてこれが日本が歴史的継続性を可能にした理由なのだ。

日本はこの歴史性やある種の宗教性を保持し続けており、それが日本が世界には類のない、古い歴史と継続性を有することの表れであるのだ。

この偉大な学者の、日本に対する評価を、私たち日本人が再評価しなければならない。

日本は今、国家の枠組みが溶けて、その連続性やアイデンティティすらも失おうとしている。

世界で最も古い継続的国家。素晴らしき伝統と先人たちの積み重ねを有する国家。

私たちは、この連続性と継続性を、絶やすことなく、後世に伝え、引き継がなければならないのである。

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投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

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