ゼロで生き、ゼロで死ぬ
人間は、生きていると様々な経験の中で、色んなものを失っていく経験をする。そのたびに絶望したり、失意の時間を過ごしたりする。
しかし、人間は生まれたときはゼロで生まれてくる。
何一つ持っていない。何もない状態で一人で生まれてくるのだ。
だから、いつでもそこに立ち返る覚悟をしておくといい。どんなものを失ってもマイナスではない。ゼロにすぎない。だからゼロで生きる覚悟が必要なのだ。
大切な人を失っても、別れても、お金や信用を失っても。ゼロで生きる覚悟さえあれば、何も恐れることはないのである。
また、今多くのものを持っていると思っている人も、死ぬときには何一つあの世に持ってはいけない。この世界の人間関係も、財産も、何も所有はできない。
ゼロで、死ぬことは、生まれたときにもう確定しているのだ。
だから、失うものが多くても、恐れる必要はない。最後は必ずゼロになるからだ。
そうであれば、自分がたくさんのものを手に入れることに必死になったとて、それがいかにむなしいかがわかるだろう。
そう考えたときに、なすべきことは何か?
内村鑑三の「後世への最大遺物」という本の中に、そのヒントがある。
「生き方」や「生き様」を残すことだ。
どんな環境下にあっても、必死に努力し、自分を少しでも輝かせ、その光で、人生でかかわった他人の人生をも、ほんのわずかであっても照らすことができたか。
生き方の軌跡は、恥じるものがないか。
そこには、何かを手に入れて、それによって自分を飾るむなしさは存在しない。
哲学者のカントのように。「これでよし」といって、ゼロで死ね。
大切なものを失って、打ちひしがれるようなことがあったら、すべてをゼロに戻そう。
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