ショパンの会
私が所属したピアノのサークルは「ショパンの会」。誰が命名したのか忘れたが、何という高尚な感じのする名称なんだろうか。
私にはピアノを弾くという高等な技術などなかったが、ピアノが弾けたら、という憧れがあった。
「もしもピアノが弾けたなら」という歌もあったな。
サークルの説明会の日、指定された教室に行ったらやや小太りのK君がいて、説明してくれた。いかにもピアノをやってそうな温和で感性の豊かそうな学生だった。
その説明会には総勢十数名が参加していただろうか。
私とNはその場の高尚な雰囲気に最も合わない空気をかもし出していたが、初心者にも教えてくれるということで本格的にやってみることにした。私はこのサークルを卒業まで続け、すばらしい友人や後輩達に囲まれて幸せな思い出を刻んだ。
今でも、あの頃毎日のように顔を合わせて同じときを過ごした仲間達の顔が鮮明に思い浮かぶ。
最初のサークルでのコンパ。
みんなで行ったキャンプ。学園祭。手作りの発表会。
明け方まで語り合った週末。
多くの人たちとの交流の中で、私は本当に成長した。
もうおそらくは一生会うことのないかつての仲間達とともに。
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