サンタクロースっているんでしょうか?
大学時代の話だ。
大学4年の冬。サークルの後輩の女の子からクリスマスプレゼントをもらった。
クリスマスを少し過ぎた日のことだ。
私が本が大好きであることを知っていた彼女は、ある本を贈ってくれた。
その本の題名は
「サンタクロースっているんでしょうか?」というものだった。
アメリカでの実話で、8歳の女の子が新聞社に「サンタクロースが存在するのか?」という疑問を投書したことに、新聞社が社説を通じて答えたものである。
その内容は、本を読んでもらった方がいいだろうけれど、質問への答えは「サンタクロースは間違いなく存在する」というものだ。
世界には目に見えなくても確実に存在するものがある。
その存在が証明できなくてもそれは、存在しないことが証明されたということではない。
目に見えなくても存在する多くのものを私たちは知っている。
目に見えないけれど美しく素晴らしいもの。それはずっと存在し、また存在し続ける。
サンタクロースはそのようなものなのだと。
私は、このようなとても素敵な書物を、先輩である私に送ってくれた後輩。学生時代に、いつもこの本に書かれているような話をしていたサークルの仲間や友人、後輩たちの存在を、今でもとても誇りに思っている。
当時の数多くの学生たちの中でも、このような素敵なプレゼントを贈ることができる人間はそう多くはなかっただろう。
そして、彼女のくれたこの本には、彼女からの手紙が添えてあった。その中にはこのようなことが書かれてあった。
大学をまもなく卒業していく私に彼女は、
「・・・社会に出ていくと、目先のことにどうしてもとらわれてしまうと思います。けれど、どんなことがあっても、心の中から、サンタクロースの住む空間を失くさないでください」
大学を卒業してから、もうかなりの歳月が流れた。しかし、その本は今も私の手元にある。
そして、この後輩の思いや願いは、私の中で、確かに叶えられ続けているのである。
これまでの人生の中で、心の中に「サンタクロースの住む空間」を失ったことは一度もない。それだけは自信をもって言えるし、この本を贈ってくれた後輩に伝えたいことだ。
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