アルバイトが見つかる
翌日からすぐにアルバイト探しを始めなければならなかった。
授業料は親が負担してくれることになっていた。それ以外の生活費などは奨学金を借りることとアルバイトの収入で賄うことにした。大学院は奨学金がそれなりに高いので、どうにかなりそうだ。
東京でいかにお金をかけずに生活していくか、ということが私にとっては大切な修行だったといえる。
大学の近くでアルバイト先を探すか、友人のマンションのそばで探すかについては迷ったのだが、当面週末をアルバイトの時間に当てることにしたので、友人のマンションのそばで探すことにした。
飲食店でのアルバイトなどの張り紙がたくさん見られたがなかなか時間が合わない。
週末だけのアルバイトがなかなか見つからなかった。
友人もアルバイト生活をしていたのだが、ある日曜日友人がアルバイトをすっぽかしてしまう事件が起きた。
友人はその日は前日から外出して戻っておらず、マンションには私だけがいた。
そこにアルバイト先の男性(社長)が訪ねてきたのである。
朝から引越しの仕事が入っていたらしく、その男性(社長)は友人を迎えにきたのだ。
私が友人の不在を告げると、かなり困った表情でマンションの玄関あたりをうろうろしていた。私は理由がわかるわけもなく、そのまま部屋に残っていた。
しばらくするとその男性はまたマンションの部屋までやってきて私に友人への伝言を頼んだ。それで私はようやく事態が飲み込めたのである。
やむをえず私が友人のかわりにアルバイトに行くことになり、これがきっかけで私はこのアルバイト(便利屋さん)をはじめることになった。
週末だけでも働かせてもらえるということだったし、アルバイト代も決して安くはなかった。
こうして都合のいいアルバイトが見つかり、結局私はこのアルバイトを長く続けることになった(実際には4年ほど続けた)。大学院を修了した後もこの仕事をやり続けることになったからだ。
アルバイトをすっぽかしてくれた友人には結果的に感謝することになった。
「ありがとう、でもいい加減にしろ、仕事だろ」って。
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