「3000円投資生活」 横山光昭
この本のテーマには、前置きとして「はじめての人のための」という言葉がついている。本の題名通りで、これから投資をはじめる人のための入門書である。貯蓄から投資へという流れは変わらないだろうから、投資について学ぶことはこれから必須になってくるだろう。
この本の勧める基本的な投資スタイルは、貯蓄をしながら、同時に少額の積み立て投資を行っていくというものだ。少額投資の対象は「投資信託」である。バランス型の投資信託に月々少額ずつの投資を行いながら、貯蓄を行い、余裕資金を得たら、金額を増やしたり、別の投資にも資金を振り向けたりしていくという極めて基本的な考え方に基づく投資スタイルである。
基本的にはこのような投資スタイルは万人に勧めることができる堅実なものなので、特に若い人はこのようにしていくことでリスクを減らしつつ、時間を味方につけた投資ができると思う。
他の投資商品やお薦めできない投資商品などについても触れてある。金融機関の勧める「投資商品」は絶対に手を出すな、という警告は私も賛成である。金融機関は基本的に手数料ビジネスだ。それを考えると顧客が儲かるためではなく、手数料収入を生むものをお勧めするのは当然のことである。様々な投資スタイルはあるが、この本で述べられているっように、大きなリスクを負わず、時間を味方につけ、仕事をしながらほったらかしで可能なものがベストだと思う。
私は「投資信託」には投資しないが、この本では投資すべき具体的な銘柄も示してあるので、実際に始めてみてもいいかもしれない。少ない金額ならば毎月実行できるし、学生でも可能だろう。とにかく口座を開設し、実行してみるということは必要なことである。
この著者は他の投資である、FX、不動産投資、株式投資などには否定的で、儲かる可能性のある人は少ないという。実際にこのような投資で利益を出して、富裕になっている人はいるので、私は否定しないが、それなりの準備や勉強、経験は必要になるだろうと思う。
毎月の少額投資信託なら、誰でもできるし、すぐに始められ、経験も必要ではない。その意味では投資の入門の入門という位置づけであるから、学生にも勧められる内容である。何よりも若い学生は、これからの人生が長い。投資の要諦は時間を味方につけることだ。その意味で、若者はすでに多くの資産を手にしていると言えるかもしれない。コツコツと始めてみるといいだろう。
この本では、投資の話もさることながら、お金に関するインテリジェンスも身につけることもできる。このようなお金に関する基本的な知識は学生時代から身につけておくべきことである。投資の商品を勧める人は、基本的に自分がそれによって利益が得られるからこそ勧めているという側面がある。誰かに投資を勧められたら、まずはそのような視点からその投資を検証してみるべきである。また、様々な投資についてもそのメリットやデメリットをよく検証してみるといい。
お金については学校で学ぶことがあまりないので、自分で学習し、経験し、知恵を蓄えていくことが必要であり、この能力は学歴も関係なく、意識して学ぶことや経験値の違いにより、個人差が大きく出てくるものなので、しっかりと勉強しておくべきだろう。
(帰省先の古本屋で購入。100円)
Share this content:
コメントを残す