「誰が第二次世界大戦を起こしたのか」 渡辺惣樹

「誰が第二次世界大戦を起こしたのか」 渡辺惣樹


誰が第二次世界大戦を起こしたのか

最近読書した本で、これほどまでに赤線をたくさん引いた著書はない。この本は、アメリカの大統領を務めたフーバーの著書「裏切られた自由」をもとに第二次世界大戦の原因や経緯やその戦後処理について書かれた本である。

日本がなぜアメリカと戦争をすることになったのか。また原爆が投下されなければならなかった理由は何か。日本人にとっては是非とも知っておくべき内容が次から次に出てくる。この本を読むと、アメリカの日米戦争開戦時の大統領であるフランクリン・ルーズベルトに対して、激しい怒りと憎悪の念を禁じ得なくなる。

また、優秀な政治家として評価されることもあるイギリスのチャーチルに関しても、その責任を追及したくなる内容が無数に盛られている。しかし、これはフーバーが様々な歴史的な資料に語らせる形でまとめたものであり、事実なのである。また、フーバーは決して親日的な大統領ではなかったし、知日派の大統領でもない。そのことが逆に、この著書の公平性(偏りのなさ)や客観性を担保していると言える。

フランクリン・ルーズベルトと言えば、日本の歴史の教科書では、ニューディール政策で成果を上げたかのような記述がなされている。しかし実はこの政策は失敗、経済的な失政をカバーするためだったのか、また後に明らかになるように、ルーズベルトの周囲には共産主義者のスパイが無数に入り込んでいたためか(ヴェノナ文書)、アメリカはヨーロッパで起きていた戦争に参加する方向に進んでいく。

当時、アメリカの国民は戦争への参加を望んでおらず、ルーズベルトはその国民の意識を戦争に向かわせるために、日本がアメリカに先制攻撃を仕掛けるように画策。経済制裁をはじめとしてあらゆる嫌がらせやいじめを日本に対して行う。なんとか話し合いで解決しようとした日本政府の努力もむなしいものになる。それは当然で、ルーズベルトは日本を戦争に追い込むためにあらゆる手段を講じており、絶対に話し合いなどで妥協する気持ちは皆無だったからだ。

何があっても日本を戦争に引きずり込むことがルーズベルトの目的だったわけだが、日本はその挑発に乗って、ついに日米戦争に追い込まれた。もちろん日本の中にも好戦的な勢力はあっただろうから、日本外交もここについては失敗した(真珠湾攻撃は愚策だった)と言えば言える。日米戦争に関しては、特に近衛文麿については様々な疑念が多く、これについては、また別の機会に述べたい。

アメリカの国民に直接働きかけることが可能であったなら、日米戦争は回避された可能性もあったかもしれない。しかし、それは後からそのように論評できるだけであり、当時は現実的には困難だったのだろう。

戦争のさなかで様々な会談が行われた。主な当事者はルーズベルト、チャーチル、スターリンである。ルーズベルトがスターリンを連合国に引き込み、様々な妥協をしたことが、共産主義の拡大を許し、第二次世界大戦後の東西の冷戦の温床になった。そう考えると、ルーズベルトやチャーチルの間違った戦争政策が、その後の世界の大きな不幸や犠牲を生み出す原因になっているのだから、この二人の責任は非常に重く、とても優れた政治指導者ではなかったことがわかる。

靖国神社の中にある「遊就館」には、日本の兵隊(海軍少尉)が書いた「ルーズベルトに与うる書」という手紙が保存されている。日本が戦争に突入していかざるを得なかった背景を日本の兵士はよく理解していたのだと思う。日本への嫌がらせ、差別などは、とてもアメリカを文明国とは呼べないものであり、許しがたいものである。日本の若者は是非、この「ルーズベルトに与うる書」を読んで、当時の状況を理解して欲しい。

戦争は、このように一部の狂った政治指導者の間違った判断や行動によって、何百万もの罪のない人間の生命が奪われるのである。ルーズベルトや、終戦近い時期に大統領になったトルーマン(原爆を投下させた)などは、多くの人々を戦争に巻き込んだ罪で、地獄の業火に永遠に焼かれ続けて欲しいとさえ思う。

日本では、残念ながら日本がアメリカとの戦争に突入し、その後原爆を投下され、戦後もまた罪悪史観で洗脳されている背景や現状を十分に認識していない国民も多い。アメリカが自分たちの政策の失敗を認めないことが、日本と中国、日本と韓国の関係にも大きな誤解と弊害を生み続けているのだ。歴史観の修正はそれほど重要なものなのである。しかし、それは相変わらずなされていないのが現状どころか、日本人の中にもそれを学ばない人が多い。

学生には、日本の近代史をこのような書物を通じて、公平な観点からしっかりと学んでほしいと思っている。それを知ることが、日本が自信を取り戻し、他の国々と健全な関係を築いていくためには欠かすことのできないものだからだ。間違った歴史の理解では、もはや日本の没落は避けられないのである。決して学校では学ぶことのない史実。これを学ぶ機会を持ってほしい。フーバーの「裏切られた自由」はなかなかの大著であり、読み通すことは大変かもしれないが、この著書のように、要点をまとめた形の書物ならば、十分に学べるはずだ。

このような本を読むことは国際社会の厳しい現実や戦争の背景にあるもの、そして日本を取り巻く現状を正確に理解することにつながる。このような教養なしに、本当は国家の主権者たることはできないと思う。時間のある学生時代に、このような本をじっくりと読んで、これまで知らなかった事実に目覚めてもらいたい。

(アマゾンで購入。1870円)

この本のもとになった、フーバーの「裏切られた自由」は重厚な資料である。

裏切られた自由(上)

裏切られた自由(下)

Share this content:

投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

すべての投稿を表示

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Proudly powered by WordPress | Theme: HoneyPress by SpiceThemes