「株式会社アメリカの日本解体計画」 堤未果

「株式会社アメリカの日本解体計画」 堤未果


株式会社アメリカの日本解体計画

日本は今、二つの国の草刈り場となって衰退している。二つの国とは、アメリカと中国だ。中国に関してはその危機意識は比較的多くの人が持っているし、様々な形でニュースにもなる。もちろん中国が日本への侵略を進めているなどとは、いまだにそれを信じない人もいる。

日本でよく反戦運動や平和活動をしている高齢者がいる。そのような人たちは「自分は中国人のお友達も多い。みんないい人ばかりだ。そんな国が日本を侵略するなんてありえない」などと言う。学生でも、「自分は中国語を勉強していて、中国人の友人も多い。中国と日本が戦争になるなんて信じられない」などと言う。日中友好という言葉があるように、お互いに仲良くしようと思っているはずだ、と。

もちろん私も中国人の教え子もいるし、知人もいる。別に悪人だとは思わないし、普段は仲良くしている。別段お互いに国のことで言い争ったり、険悪になったりしない。しかし、個人のレベルと国家とは話が違うのだ。

私は日露戦争について様々な書物を読んできたが、有名な軍神広瀬武夫のことを思い出す。日露戦争前にロシアに留学し、ロシアでは多くのロシア人に愛された。その広瀬は旅順港の閉鎖作戦に名乗りを上げて、戦死する。その時のことが物語になって、広瀬は軍神と呼ばれるようになった。ロシアを愛し、ロシア人に愛された広瀬はしかし、そのロシアの砲弾で全身が吹き飛び、即死したのである。国家と個人の関係は全く局面が異なることは容易に想像がつくだろう。

多くの日本人に徹底的に欠けているのは、「国家」それも「国民国家」の概念である。よく左翼の活動家などが我々は地球市民だなどと言って、日本国の権力や政府を批判したりしている。批判はいいが、自分の置かれた世界を客観視できていない。日本国の法律や権力に守られているからこそ、自分が普段平和に生活できていることを理解しないのだ。国がなかったらどんなに大変か、国家が存在しなかったら、生活さえままならない、ということがわからないのである。

だから権力に庇護されながら、気に入らないことは権力をたたいて正義を気取っているに過ぎない。もちろん、政府の政策を批判する必要はあるし、それも国民の役割だ。しかし、日本を壊すような活動を行い、日常は国家に守られていながら、緊急時には国家を守らないというのである。また、意識して守らないと国家というものが滅びることがある、ということが理解できない。国家を守らないと、自分も守られない、ということがわからない日本人はとても多い。そもそもルソーが言ったように、民主制というのは国民皆兵が原則である。自分たちが国の在り方を決め、自分たちが全員で国を守ることが原則なのだ。

このような国家という概念で日本を見たときに、その意識の弱い日本人が容易に外国の侵略を許すであろうことはわかるだろう。侵略とは国土の侵略だけではない。情報、経済、医療、インフラ、教育などあらゆるものが対象となる。

さて、このような観点から見たときに、日本をすでに侵略支配しているのがアメリカだということだ。ただアメリカと言っても、この著書の題名通り「株式会社アメリカ」というのが正しい。実はアメリカをすでに侵略し、アメリカという国家を背後から操っている存在について述べたのが、この本である。

その黒幕はウォール街。国際金融資本である。金の力であらゆる物事や人物を篭絡して、自分たちの都合のいいように動かし続けているのだ。その様々な事例が、この本には盛られている。お金の力でなんでもできる。これが彼らのモットーだし、実際にアメリカもすでにその支配下にある。そしてさらにそのアメリカを使って、我が国日本を解体し、多くのものを奪いつくしているのが、アメリカと日本の現状なのである。

もちろんこのようなことを言っても信じない人が多いことはわかっている。ただ様々な事件や世界の動きの背景には間違いなく彼らがいるのである。これは調べればすぐにわかることではあるのだが、逆に言うと意識して調べなければ決してわからない。そして日本人の99%は調べない人々である。

日本はメディアも政府も、企業や医療や教育も、支配操作されていると言ってもいい。これもメディアや政府やいわゆる偉い人がいうことを妄信しやすい日本人が自ら招いた災いである。だから多くの人に知って欲しいし、学んでほしいのである。

この本では郵政の民営化から始まった日本解体計画について多くの事例が取り扱われる。水道、農業など日本にとって貴重な宝が、すでに狙いをつけられ、その解体、収奪計画は実行に移されている。

この本では、このような国際金融資本に対抗する手段として、日本人が持つ心性や行動様式に期待をかける。「今だけ金だけ自分だけ」の支配から自由になるためには、この逆を意識して、「お互い様」の共同意識を取り戻すことなのだ。日本人にはまだこれを完全に失っていない強みが残っている。

私はアメリカ国民とも中国人民とも対等に仲良くしたいと思っている。お互いの良さを認め合いお互いを大事にする。しかし、それを壊そうとする価値観が中国(共産党)にもアメリカ(金融グローバリズム)にも存在する。日本人はこれに対して、断固としてNOを突き付け、日本独自の自立した判断で彼らと渡り合っていかなければなるまい。

そのためには精神も経済も教育も、あらゆるものを日本的なものに回帰させ、自分たちの世界観や歴史観、人間観を再興させなければならない。それがかなわなかった場合、日本の寿命はそう長いとは言い切れない現実があるからだ。

(ダイレクト出版からオンラインで購入 550円)

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投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

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