「日本の正しい未来」ー村上尚己ー
この本の題名のように、日本の正しい未来像を描いた、あるいは提案した書籍は多い。
多くの学者や評論家などが、無数の本を書いては、日本のあるべき姿や、取り組むべき政策について提案している。
しかし、その多くは実行されるには程遠い状態で無視、あるいは放置され、日本はさらに貧しき国家への道、衰退への道を転がり落ちている。
この30年間、所得が全く上がっていない(むしろ低下している)日本人は、やがては金を持っている外国人に使われ、生きていくしか道がなくなるのではないだろうか。
この本では、私もこのブログの様々なところで述べてきたように、日本の緊縮財政の政策の間違いや本質的にはまだ続いているデフレ(今の日本のインフレはコストプッシュインフレであって、経済成長に基づくインフレではない)の正体。これがいかに国を衰退させるものであるかが述べられている。
また、財務省が相変わらず宣伝に余念のない「日本は赤字国家」であるというプロパガンダの嘘についても触れられている。
経済について疎い人であっても、読みやすく書かれているし、分かりやすく説明されている。
世界的な視点で今の日本の現状を見ることのできる著者は「今の日本の経済的な凋落は失政によるものであるという世界的共通の認識」についても触れている。
しかし、政策の間違いでここまで日本を衰退させてきたことに対して、政治の責任を問おうともしない日本人こそが、日本没落の真犯人ではないだろうか。
人口が減り、高齢者が増え、経済成長も行くところまで行きついた。だからもう日本はこれ以上豊かになることも経済成長することもできない、またする必要もない、などという議論がまかり通る。
このようなマインドは日本の子供たちに将来への期待や希望を失わせ、そのデフレマインドが更なる国の凋落を呼び寄せるに違いない。
この本のように、分かりやすく現状の問題点や真実を語る本は多いのだが、本そのものを読む人が少ない。いやそもそも、政治や経済に興味を持たないから、与えられた現実をただただ受け入れる。
そんな国民は非常に多く、あるいは目先の楽しみに夢中で、日本という国家や社会について真剣に考えようともしない国民も少なくないことに、私は時折絶望的な気持ちになる。
正しい道が示されているのに、それを知ろうともしない、ましてや実行するのは政治家や偉い?人たちで自分たちには関係がない。
このように考えている国民の意識が変わらない限りは、日本はさらに急激な衰退の道に入り、そのことで強国と言われる国(例えば中国)の支配下に入ることも時間の問題であるように思う。
すでに日本はアメリカ(国際金融資本)や中国(共産党)にかなりのレベルで支配されており、本来の日本の国柄に合った発展の可能性を自ら放棄しているかのようだ。
この本の冒頭には、産業の衰退も甚だしい日本では、企業も外資に買われ、日本の若者がその能力を活かせる高給な仕事にありつくことができずに、外資系の企業や外国籍の企業に就職する様が「近未来小説」として描かれている。
これはすでに起きていることであり、また今後さらに起こってくる未来だ。
この本が書かれたのは2017年(安倍政権)。経済政策に多少の変化がもたらされそうな時期に書かれている。今後変わっていきそうな予感で締めくくられているが、それから6年以上が経った現在(岸田政権)。
事態はさらに深刻化してしまっている。決して政治は変わらなかった。
更なる増税や日本を弱体化する政策は、その頃よりも強力に推し進められているかに見える。
日本はどこに行こうとしているのか、また若者を含めた日本人が、この国をどのような国にしたいと思っているのか、結局はそのすべての帰結がこの国の未来を決めるのだろう。
多くの若者が事実を知り、それを変える主体が自分たちなのだ、という自覚を強く持つことを期待するほかはない。
吉祥寺の古本屋で購入(100円)
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