「出口汪の論理的に考える技術」 出口汪
有名な予備校の講師の著書。論理的とはどのようなことか、論理的に話すには、書くには、語るには、考えるには、そのために必要な事柄が対話式で簡単な言葉で示されている。
論理的思考や論理的に考えることについては昨今非常に重要視されているし、実際に社会人になるととても役に立つ能力であり、必須の能力であると言える。
学生の就活のためのエントリーシートや論文など、また面接での話し方なども含めて、論理的というものの根本がわからない人には入門書として軽く読めるレベルで、読みやすいだろう。
一応、論理性を磨くために行うべきことも述べてあるが、新聞の社説などを読むなどの方法が提案されている。私としては、最近の新聞記事のレベルの低さから、社説を読んでも論理の練習になるかどうかは非常に疑問であるので、新聞はあまり勧めない(実際にはとても論理的とは言えない根拠薄弱な文章も多くなっている)。
従って、このような入門的な本を読んで、おおよそ論理的とはこのようなものかということがつかめたら、実際に書いたり、話したりする機会をたくさん持つことが必要だ。特に書く練習は力を付けるうえで必須なので、もう少し実践的な本を買って、練習するといいだろう。論文の書き方のような本を読んでもいいと思う。
論理的とはどのようなことか、ということに関しては、私が以前読んだ「教養の本」(戸田山和久著)で述べてある説明が明確でよくわかった。参考までに示すと
論理的なコミュニケーションのためには
①使われている根拠が全て正しいこと
②根拠が主張を十分にサポートしていること
この2つの条件が必要であり、これが満たされているものが論理的である、ということだ。
この、主張と根拠とそのサポート関係の成立をもって論理的という。主張を述べて、それを根拠づける事実や理由が述べられていて、そこに十分なサポート関係があること。これでスッキリするのではないかと思う。このような文章を書き、このように話せば論理的であると言える、と考えていいだろう。
いずれにしても、日本人は論理に弱いと言われるから、この力を磨くことは学生時代には必須の項目となる。是非身につけてもらいたい。
(BOOK OFFにて110円で購入)
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