「人生に革命が起きる100の言葉」 小倉 広

「人生に革命が起きる100の言葉」 小倉 広


人生に革命が起きる100の言葉

学生時代に学んだ心理学といえば、私にとっては専らフロイトやユングの心理学であった。無意識についての心理学は学問的な興味としては非常に面白く、ユングの集合無意識などの概念は私には人間存在への新しい見方を教えてくれたともいえる。

ただ、このような心理学は私の人生や生き方には何の変化ももたらすことはなかった。

フロイトの心理学は、半分納得できるような、できないような、なんとも不可解な気持ちで読んでいた。確かに過去のトラウマなどが今の自分の言動に影響を与えていることは十分に考えられることである。しかし、それは今の自分の課題を過去や社会や他人に責任転嫁してしまい、今後の自分の変化には無力となったしまうことも考えられる。

しかし、この本の基本になっているアルフレッド・アドラーの心理学は、私たちに未来を見せてくれる。ある意味で非常に厳しいこの心理学は、全ては自分が根本であり、今の自分のありかたは「すべては自分が決めている」というのである。当たり前に思えるこの真実はしかし、人生の方向性を大きく変えるだろう。

過去のトラウマの影響で今そのような行動をとっているのではない、必ず未来に向けた目的に応じた行動を我々は取っているということである。同じ環境に置かれても、我々一人一人が異なる行動をとるのは、それぞれが違った目的を有しているからであり、そのような目的行動はすべて自分が決めているということである。

フロイトの心理学が過去思考なのに対して、アドラー心理学は未来志向の心理学である。自己啓発や人生論には欠かすことのできない心理学であろう。その意味ではこれから積極的な人生を自分で決めて生きていきたい人にとっては、非常に参考になる書籍であると言える。

他にも大人になってから学んだ心理学といえば、これ以外には「行動心理学」があるが、これはマーケティングなどの関係から学んだものであり、自分の生き方につながるものではなかった。アドラー心理学は、その意味では「人生論の心理学」であると言ってもいいだろう。

これからどのような考え方で生きていけばいいのか、人生にとっては何が大切なのか。そのような人生にとって必要な様々な項目に対して、明確な指針が示されている。しかし、冷静に考えると非常に厳しい自己責任型の心理学であることは間違いない。最終章には「他人の課題を背負ってはならない」という章がある。

その理由は明らかである。自分の人生は自分の人生、他人の人生は他人の人生。従って自分の課題は自分の課題、他人の課題は他人の課題。それを生み出し作っているのは他ならない自分なのだから、自分で何とかするしかないのであって、その責任や原因を自分以外に転嫁することなど許されないことである。

また他人の課題を背負うことも背負わせることも、健全な対応ではないということになる。そして自分の課題を解決できるのはまさに自分しかいないということでもあるだろう。

このような自己責任、自助努力型の心理学は、多くの悩める人、弱った人にとっては酷に感じられるかもしれない。しかし、結局ここを乗り越えなければ悩みの真の解決はないし、自分の人生を、自分の力で生きることもできないのである。

また、人生において何より大切なこと、それは同時に悩みを生み出す要因でもあるのだが、それが人間関係であるということも重要なポイントである。人生の幸不幸のほぼすべてを決定しているのが人間関係であるということもアドラー心理学が示す一つの真理であろう。

学生時代に、このような本をしっかりと読んで、自主自立、自己責任、自助努力の基本精神を身につけたいものである。また、人生を成功させ、幸せな生活を送るために必要な項目を、学んでおくといい。大学の専門科目よりもはるかに重要度は高いと私には思える。そのための指針として、アドラー心理学は非常に有効なテキストになるはずだ。

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投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

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