「お金と富の哲学 世界の名著50」Tバトラー・ボートン

「お金と富の哲学 世界の名著50」Tバトラー・ボートン


お金と富の哲学 世界の名著50

この本は、お金と富に関する書物を集めて、その1冊1冊の概要をまとめた著書である。金儲けの本かと言われれば、そうとも言えるが、この中にはアダム・スミスの「国富論」なども取り上げられているから、なかなか奥が深い。

日本人はお金について堂々と語ることをあまりしない国民だ。その意味では直接お金や富について書かれた本は日本ではあまりお目にかかれない(最近は若くて財をなした人がお金の稼ぎ方について書いた本が増えているが、残念ながら海外の古典的な哲学と言えるものからすれば、内容が浅いのだ)。この本でも、日本人の書いた本は1冊も取り上げられていない。

日本人にも多くの富を生み出した人材は無数にいるが、それが金銭哲学という形で昇華されずに仕事論などの形で表現されることが多いことが原因かもしれない。また個人として富を有していても、お金を稼ぐことについて語るのではなく、仕事の結果お金持ちになったのだから、お金は結果であり、目的ではないという意識が高いのだろう。

それでもどこかで、日本では直接的にお金について語ることに後ろめたさのようなものがつきまとうのは間違いないと思う。

しかし、これからの若者は、このようなお金と富について語られた著書は是非とも読むべきである。この本のように富や財を成した人がどのような考え方をしていたのか、ということを若いうちに学ぶことはとても大切なことだ。お金や富には、やはり哲学が必要なのだと私は思う。その稼ぎ方にも、その使い方にも。

50冊の著書がばらばらに紹介されているが、「お金と人の心」「富を生む」「財産の維持・管理」「財産を分かち合う」という形で、大きな目的ごとのガイドはあるから、それに合わせて読んでもいいし、好きなページから読むのもいいだろう。

私は適当なページを開いて1日に1項目を読み進めた。もちろん著書1冊ずつを8ページくらいにまとめたものだから、その著書の内容をすべて学ぶことはできない。しかしわずかなページの中にも学ぶべきことや線を引きたくなる記述は無数にある。

自分の気に入った本や興味がわいた本は、直接その本にあたり全部をしっかり読んでみるといいだろう。こんなテーマの本もあったのかと、意外な発見ができる著書だ。これほど多くの人がお金について、富について語っているのに、おそらく日本人の多くはこれを知らず、学ばずに人生を終わっているのではないかと考えると、非常にもったいないと思う。

このような世界的な名著をざっくりと把握してみると、お金についてはやはりマインドの重要性を実感せざるを得ない。お金を稼ぐとか富を形成するとなると、手段に目が行きがちであるし、それはそれで重要なのだが、お金に振り回されない本当に豊かな人生を送るためには何が必要なのかを、このような世界の名著は教えてくれるのである。

このような本を私は学生時代に読んで、自分なりに必要な著書を見つけてもっと深く学びたかったと思う。このような哲学は若いうちに身につけておくに越したことはない。そのマインドのままに、必要で効果的な手段を用いれば、世界に名だたる富裕層を日本でもたくさん生み出すことができるのではないだろうか。

政府は子供たちに投資教育などを推進するようだが、最も大切なお金や富に関する哲学を最初に教えるべきであると思う。しかし、そのような考えが出てこない理由は、日本の教育の内容を考えている人が、真に富裕な人たちではないからなのだろう。この本の一つ一つの項目(1冊の本の概要)を毎日のホームルームで子供たちに伝えたら、日本はもっと豊かな人で満ち溢れた国になるのではないかと思うのである。

(神保町の古本屋で500円で購入)

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投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

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