最終学年へ
結局、法社会学ゼミは私だけがゼミ員となった。
担当の助教授(加藤哲実先生、後に明治大学教授)は珍しいものを見るように私を見た。
「君はこのゼミで何がやりたいの」
「はい、先生がテキストとして取り上げられた本は読んだこともありましたし、その著者(栗本慎一郎)の本は他にもたくさん持っていますから」
「君はこんな分野の本が好きなの?」
「はい、面白いと思います」
先生は目を大きく見開いて、変わったやつがきたなと言わんばかりの表情でうなずいた。
結局ゼミは、先生が指定されるテキストを私が一週間で読んできて、その部分のレジュメを作成、先生に対して毎回説明するというスタイルで行われることになった。
これがことのほか大変で、他のゼミは多くのメンバーがいるので、研究発表する機会は数ヶ月に一度くらい。
私は毎週たくさんの課題を抱えることになった。
こうして大学三年が終了し四年生、最終学年を迎える。
司法試験は五月に始まる。その勉強も加速していたが、このゼミの研究はそれ以上に私を忙しくさせた。
ただこのゼミに所属してことが、私の人生の方向、進路を明らかに変えた。
私は大学卒業後、東京に出た。それは予定通りだった。ただ自分では全く予想しない形での上京となったのである。
そして私にとってこの一年間は実に多くの事が凝縮されていて、きっとそれまでの三年間を上回るだけの出会いと、感動があった。
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