「日本の絶望ランキング集」
日本の未来を悲観する人は決して少なくない。
当の日本の未来を担う若者が、日本の未来に悲観的なのだ。
実際にはどうなのか。日本のこれまでと現状をデータをもとに考察したのがこの本である。
いくつかの例を簡単に述べよう。
まずは社会インフラだ。日本のインフラはかなり充実していると思っている人も多いだろうが、実際は社会インフラは途上国並みである、というのが結論だ。
住宅整備、道路、下水道の普及率、街中の電柱など多くの例が挙がっているが、その整備は全くできていないのである。都市に住む人はその問題点に気づきにくいのだが、地方を見ればその現状がわかる。例えば地方の下水道の普及率は異常に低く、とても先進国とは言えない。
日本は、公共投資は多くの金がつぎ込まれて、公共投資の金額はかなり多い方なのだが、国民の利便性を高めるための公共事業はかなり手薄なのである。
なぜそうなのか、理由は簡単だ。公共事業費が、国民のためではなく、政治家や官僚の利権のある分野に限定されてしまうからである。そこに無駄な箱モノや計画性のない道路、施設などが創られてしまう理由がある。
公共事業費が、国民のための事業ではなく、利権と業者と政治家の地位や立場を強化するために使われてきたからなのだ。地震対策が必要な日本は、災害対策のためのインフラさえいまだにまともに整備できていないことに驚きを禁じ得ないだろう。
災害が起きるたびに、多くの国民が犠牲になる(災害による死亡率ランキングは世界第2位)が、それもこれも真に国民を守るためではない、利権のためのインフラ?に多額の金が流れ続けているからだ。
もう一つ例を挙げておこう。
医療業界である。日本の医療はいびつである。開業医が多く、医師会は開業医の利益を守るための団体である。コロナ禍で、一般の開業医が全く役に立たなかったことは記憶に新しい(一部の良心的な医者は除く)。公立の病院でしか、コロナ患者を受け入れることができなかったために、病院の数は多いのにあっという間に医療崩壊などと騒ぐ始末(ちなみに日本の人口あたりの病床数は世界一だが、ここが機能しなかったために医療崩壊などと騒いだわけだ)。
そしてコロナは診ないくせにワクチンの接種となると多くのお金が流れ込んでくることから積極的に接種に走る。こんな医療機関がほとんどであった。
日本の国家予算の多くをこの医療費が占めている。ここを削らなければ歳出の根本を減らすことはできない。そして日本の医療は延命治療に力を注ぐ。もちろんこれによって医療費はどんどんかさむことになる。世界の医療は、ここまで延命治療はやらない。日本人はもっとこれについても真剣に考えるべきだろう。
ちなみに寝たきり老人の数も、日本はワースト1位である。
さらに、日本は精神科の病床数も世界一。精神科は設備も必要なく、長く入院させることで多くのお金が流れ込んでくるから、儲けやすい世界でもある(世界では通院型の治療が中心だが、日本では入院型治療も他国に比べて多い)。
日本の医療の中心は開業医の利益を守る医師会がある。これが政治家に献金し、大きな圧力をかけるから、日本の医療行政は国民のためにならないことでも、その現実を変えることができないのである。
公共事業と医療の世界を例に挙げたが、このように日本では強い圧力団体や利権があるところにお金が流れやすい仕組みになっている。
この本には、それ以外でも、日本が外国に買われ、中国や韓国にも喰われてしまうほど企業が弱体化した現実やその理由が述べられる。
日本が貧しくなった理由は、学生の皆さんもしっかりと学んでほしい。
そのような日本の衰退のために、日本の格差は先進国では最も大きくなっている。金融資産は世界でも少なくはないが、生活にも困窮する層が増えてしまい、格差は広がるばかりである。
そして、貧困層の多くがその資格があるにもかかわらず、生活保護を受けていない。こんな国は先進国では日本しかない。また世界の先進国に比べて雇用保険(失業保険)も十分ではない。
世界的な比較で調べれば調べるほど、日本社会の様々なインフラや制度が不十分であることがわかる。
その一方で、日本は海外純資産世界一の「金持ち国家」なのである。この矛盾をどう考えるか。簡単に言えば国民が稼いだ富は国民のために使われず、一部の人間や海外に流れているということである。
全ては取り上げないが、この本には、他にも様々な観点から、日本の現状が語られている。是非、学生の皆さんは自分の将来のためだと思って、多くの現実をしっかりと知って欲しい。
最後にこの本では、なぜこのような国になってしまったのか、という根本理由が述べられている。
結論を言えば「国民が政治に参加しないから」である。
日本の選挙の投票率は世界でワースト4位である。せいぜい投票率50%程度であり、ひどい選挙では30%台、普通でも40%台はざらにある。40%ともなると世界ワースト1位だ。
これほどに政治的に無関心な国民はないだろう。国民が国のお金の使い方を知らず、それを調査も確認もしない。すべて仕方ないとあきらめて、自分の生活や日常の楽しみにだけ気を向ける。
そのような無関心が、自分たちの首を絞めているのに、それにすら気づかない。政治家は投票してくれる人のいうことをきく。利権団体や圧力団体が力を持ち、それによってつくられた組織票が力を持つ。
特に若者の投票率は壊滅的である。これでは若者にとって必要な政策などやるわけがないだろう。政治家は票やお金をくれる存在しか相手にしないのだ。それが今の政治の現状である。
日本には様々な課題があり問題もある。政治家や官僚の責任は重大だ。
しかし、この国の主(あるじ)である国民が、自国の政治に無関心である限り、この体制は続く。日本はまずます一部の人間だけが潤い、多くの貧困層や地方が切り捨てられる社会になっていくだろう。
自分たちの社会や国家に関心を持ち、それを変えることができるのは自分たち自身であり、自分たちしかいないのだ、という強い自覚が求められているのである。
特に若い世代の学生は、民主制の意味や責任をしっかりと理解して行動してもらいたい。
これ以上、歪んだ国策によって不幸になる人を増やしてはならない。
ーブックオフで購入(110円)ー
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