もう一つの恋愛
サークルでは和気あいあいの雰囲気が続いた。
みんなそれぞれにお互いが新鮮だったからだろう。私には新入生の女の子の中に、気になる子がいた(これは以前にもすこし書いた)。
自分はほとんどしゃべらないのに、熱心に人の話を聴く。
私はその当時、今よりもさらに言葉数が多くよくしゃべるほうだったから、私は彼女と話しているととても気持ちが落ち着いた(普段は後輩の話を聞いてあげることが多かったが、彼女に対しては私には傾聴力なんてほとんどなかったと思う)。
私は司法試験には失敗し、卒業後浪人してでも勉強を続けるつもりでいたから民間企業の就職活動は一切しなかった。
そのために、本を読んだり、人と話をしたりする時間をたくさんとることができた。
学校の授業は4年生になるとゼミを除いてはほとんど出る必要がなかった。卒業のために必要な単位はもうそろっていたからだ(ピッタリと必要な単位数だけそろえた)。
自由な時間はたくさんあったので、サークル活動にも頻繁に顔を出した。
自分の将来の夢、考え、本心。
それを彼女には全て包み隠さず話すことができた。
私の心は彼女の方へと引き寄せられていった。
大学で二つ目の恋愛。
自分でもその感情に気がつくのに、長い時間は必要なかった。
しかし、これは私にとって、幸せでもあり同時に苦しく長い日々ともいえる矛盾した時間の到来をも意味していたのだった。
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