内向きの若者たちへ
最近よく話題になることが、日本の若者が内向きになっているということだ。
具体例としてメディアで取り上げられていたのが若者の海外旅行への関心低下である。また日本人はパスポートの取得率が低いことも取り上げられている。
メディアでは、これがさも問題であるかのように騒ぎ立てているが、一体何が問題なのだろうか。
昭和の時代に多くの人が海外などに気軽に旅行に出ていたのは事実であるが、それは諸外国に比べて日本人が豊かであり、円の力も強かったからである。
また、今とは違ってインターネットで海外の情報を手軽に得られる時代でもなかった。
今の日本の若者は当時よりもお金がなく、海外に出るには高いコストが求められる。
私に言わせれば、これは当然の成り行きであって、何ら若者自身の問題でもない。「海外に出るエネルギーがない若者が多くなったのだ」というコメンテーターの言葉は全く真実を語っていない。
日本が貧しくなり、国家や社会全体が活力を失っているのである。これはまさに今社会の現場にいる多くの大人の責任である。
それに、日本のこともよく知らないくせに、若者に世界に出ろなどと偉そうなことを言っている大人も多い。
私は日本を外から見るという意味で、また学ぶべきものは学ぶという意味で、海外に出ることは意味があると思う。
しかし、無理に海外に出る必要はない。
私が他のところでも述べているように、徹底的に内向きになって「日本を知りつくす」ことに時間やお金をかけて欲しいのである。
学生時代は時間はあるが、お金はないという者も多いだろうが、海外に行くことに比べれば日本国内を歩き回り知ることにそれほどのコストはかからない。
日本を知るために歴史や文化に関わる書籍を買って読むことも容易である。
日本人としてまずやるべきはそのような事である。
日本のこともまともに知らない大人が偉そうに「日本の若者はもっと世界に出て海外を知れ」などと言う。そんな意見は無視して、とりあえず足元から始めればよい。
徹底的に内向きになることもまたとても意義のあることなのである。
それは他人の動向ばかりに左右され、自分を失っていく人間にありがちな過ちを克服し、自分自身を取り戻すために、自分を徹底的に振り返り、知りつくすことと同じである。
とにかく、日本人は日本の正しい姿や歴史などを知らない。
それを知らずして海外のことを多少知ったからとて、それがどうしたというのだろうか(それも海外に旅行した程度で本当にその国を知ったなどといえるのだろうか)。
だから内向きで結構。日本に立ち返り、自分に立ち返る。
そこから始めると良いのである。
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