1人暮らしの効用

1人暮らしの効用

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学生時代をいかに生きるか まとめ編 その29

大学時代は1年目には大学から少し離れた場所に下宿していた(食事のついた寮のような場所だ)。

急いで探した場所だったので、とりあえず住む場所を確保したという感じだった。

長い急な坂を登って、高台にある下宿で、朝と夜はまかないが付いていた。一人暮らしでは食事が心配だということで、親の意見を聞き入れてその場所に決めた。

自分の部屋の窓からは桜島が見えた。とても眺めのいい場所であったが、大学までは歩くには少し距離が遠く、毎日坂を昇り降りしながら大学に通った。

自転車もなく、バイクもなく、ただひたすらに歩いていたが、いい運動になるのはいいとしても、だんだん面倒くさくなってきた。

また下宿で出る食事もパターンが決まっていてだんだん飽きてきた(なぜかイカの料理がよく出た。食材が安かったからだろう)。

大学ではサークル関係での飲み会なども多かったのだが、そのような時に食事をキャンセルしても代金が返金になるわけではなかった。ちなみにこの下宿の代金は朝と夜の食事つき、4畳半で4万5千円だった(当時)。

下宿のおばちゃんは一生懸命に食事を作ってくれて本当にありがたいという気持ちはあったが、金銭的な無駄や時間的な無駄はやはり自分には耐え難く、結局その下宿も1年ほどで離れて、大学が近いもっと安い部屋に引越しをした(昨年この最初の住処を30年以上ぶりに訪ねると、まだ建物が残っていて、空き家になっていた。歴史を感じて、自分の記憶が一気に蘇ってきたものだ)。

引っ越ししたこの安い部屋というのは3畳一間で家賃6千円だった。

私はこの3畳一間の部屋に残りの3年間住み続け、大学時代を過ごした。

鹿児島では桜島が時々噴火する。

この部屋にいたときはその噴火の瞬間に噴煙が立ち上る光景を何度も目にしたし、爆発した時には部屋がゆれた。

最初に住んだ下宿は幸い高台にあったために鹿児島の人を困らせるような火山灰の被害はあまりなく、居住空間としては快適だったかもしれない。

大学時代に一人暮らしをしたことで、自分の時間の管理や金銭の管理、生活の管理など、様々な能力は身についたと思う。特にお金に関しては、がんばってやりくりした。

親に金銭的な負担はかけたくなかったので、奨学金(国と県の両方から借りた)と時々のアルバイトでしのいだ。

当時の私の収入は国と県の奨学金で合計4万3千円。これで家賃や食費を賄う。

家賃が6千円、電気や水道はほとんどかからない。エアコンもなく、扇風機すらなかった。食費は基本的に安い学食を利用して1日2食で多くても2万円ほど。古本屋などで本を買う資金は1万円~2万円くらい。足りない部分はアルバイトをしてしのぐ。

時々急な時は親に仕送りを頼んだが、普段の仕送りはできるだけ断ることにしていた。

私の両親は子煩悩であったから、いつも電話すると「お金は大丈夫なのか、送ろうか」、と言ってくれたが、基本的には断っていた。

アルバイトをやることで大学時代の勉強や読書の時間をつぶしたくはなかったので、アルバイトはほどほどにして、基本的には節約を心がけることで乗り切った。

貧乏学生であったことは事実で、服なども同じような服を繰り返し着ていて(洗濯はしていたが)、貧乏くさく、女性からも相手にされるようなことは全くなかった。

自分としてもその分野はあきらめきっていたことがある意味で幸いしたと思う。

ただ人とのかかわりや付き合い、そのようなものが少なくなることで、色んな人から影響を受けたり、自分から与えたりすることも大学時代のはじめの2年はかなり少なかった(おそらくは今なら違う考え方をすると思う)。

この時期にはお金の持つ効用を十分に理解していなかったのだろう。

ただ、少しのお金を大切にして、節約をして、効率のよい使い方をしていくというスキルは、この時代に身につけることができたと思っている。

大学時代は思いっきり貧乏な生活と、思いっきり贅沢な生活の両方を経験できるといいだろう。それによって、自分というものをよく知るきっかけにもなる。

お金がどういうものかもわかるようになるだろう。

その意味では独り暮らしの経験や、親にできるだけ頼らない経験は、学生時代に必ずやっておくべきことである。

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投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

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