過去と未来の間で
彼女からはしばしば電話がかかってくるようになった。学生時代はほんの周りの些細な変化で感情が傷ついたり、逆に元気になったりするものだ。
私には彼女を恋しいと思う気持ちはもちろんあったので、彼女が私を頼りにしてくれることは本当に嬉しかった。電話で話していると大学時代に戻ったような気がした。
しかし、私にとっては自分の将来のことや大学院での研究のこと、そして生活していくためのアルバイトで時間がなく、いつも何かが途切れたような電話の切り方をしなければならなかった。
いったんは気持ちの整理をつけたはずの恋愛感情がよみがえってくることは、私にとってはつらい気もした。
私はできるだけ冷静に彼女に対して必要なアドバイスをした。
しかしどれもこれも、私が彼女のそばにいてあげることができたら、容易に解決してしまう問題であったような気もする。
自分の気持ちが過去に戻ってしまうことが怖くて、アルバイトや勉強に打ち込むことでその気持ちを忘れようとした。
私の解決策は、彼女に対して一定の距離をとって、徹底的なアドバイザーとしての役割を演じることだった(これは大学時代にずっとやってきたことだ)。
結局恋愛感情を超えるには、相手にとってよき相談相手であり続けることが一番いいのだということを私は知っていた。
その結果相手が問題を解決し、自分のもとを去っていったとしても、その孤独に耐えうる力がなければ、他人の幸せに貢献することなどできないからである。
様々な環境の変化や、人間関係の変化は流れる川のようなものだ。すべては「一期一会」なのだが、なぜか長い期間にわたって関わり続けられる人がいたりする。それは結局お互いがお互いを必要としているからに他ならない。
連絡さえ途切れなければ、時間の流れと変化の中で、また新たな局面が訪れることもあるだろう。
しかしそれは自分の力でどうなるものでもなく、まさに運命のなせる業なのだろう。
それまでは私も彼女も今自分の置かれた環境の中で、自分に必要な何かを掴み取らなければならないはずだ。
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