財務官僚は真のエリートになれるか
経済学部の学生であれば、「ケインズ経済学」というのがどのようなものかは知っているだろう。
ケインズは経済学の世界ではあまりにも有名ではあるが、経済を専門的に学んだことのない人にとっては、全く未知の世界の話かもしれない。
私がケインズ経済学に出会ったのは、大学時代だが、その時は経済思想を自分で学んでいく中で、有効需要や彼の「一般理論」(雇用、利子および貨幣の一般理論)について多少知っただけであった。
本格的に学んだのは実は専門学校の講師になってからだった。
マクロ経済学というのが公務員試験の専門科目の中にあって、それを学生に教えなければならなくなったからだ。私はもともとが法学の専門だったので、このマクロ経済学の理論は全く無知だった。
しかし、仕方ない。専門学校で教えるために学んだのである。
そこで、結局この理論が、政府の国家経済に対する政策論であることがわかった。ケインズは学者ではない。もともとは投資家だったりジャーナリストだったり、役人としても仕事をしていたような人だ。だからある意味では、本当の生きた経済を知っていた人であると言えるかもしれない。
財政政策と金融政策を用いて、国家の経済運営を行う。そのための理論だ。
日本の経済の今は、まさにこの政府が経済に介入し、大きなきっかけを作らなければならない時だ。
なぜなら日本はデフレスパイラルの中にあるからだ(今の物価高はコストプッシュインフレ、であり正常な経済成長に伴うインフレではない)。
いわゆるケインズの言う「有効需要」を、政府が作り出さなければならない。民間企業は疲弊しており、大規模な投資などとても望める状況ではないことはわかるだろう。
それなのに、公務員試験でマクロ経済学を学んだ官僚が、この有効需要の創出の邪魔をしているのである。
実は私は、半分市場主義者で、自由主義者だから、政府が経済を動かすなんて傲慢だと思ったりしていた。民間の自由な競争に任せた方が経済は発展するのではないかと。だから実はマクロ経済学的な発想が好きではなかったのだ。
しかし、経済学を学び続けて、考え方が変わった。国家のマクロ経済政策は非常に重要であり、これが多くの国民の生死を左右するほど重要なものであるということを、である。
ケインズの言うように、政府が財政政策を行ってこそ、国の経済は発展するのである。
今はまさに、国家が有効需要の創出に力を入れるべき時だ。日本の経済がどんどん縮小しているからである。
今、それを邪魔しているのはまさにその当事者である「財務省」だ。
国民を救える、国家を再び豊かにすることができる、その権限と力を持っている財務省に日本の未来がかかっている。本当に彼らの一存で日本はあっという間に復活できる。
真のエリートは国民を幸せにする「高貴な義務」を有している。
今こそ、この義務を果たして欲しいと、多くの国民が願っているのである。
それは、財務官僚に限らない。コロナ禍の厚生労働省はどうだ。高貴な義務を有する他の役所の公務員はどうだ。もう一度公務員になった原点に立ち返って、真実に目を向けて、勇気をもって仕事をして欲しいのである。
私は毎年、公務員試験を受ける学生の面接をしている。彼らは例外なく国民の幸せや国家の発展や繁栄を口にする。民間企業でなく公務員になろうと思った理由は健全であり、使命感を帯びている。
ほぼ全ての若者が、もともと入職したころは国民の幸せや国家の発展を目指したのだ。初心を忘れずに、日本国民の公僕として、責任ある仕事を全うする気持ちを持ち続けて欲しい。
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