読書に拍車がかかる
大学4年次は、私が最も大量の読書をした時期だった。
どんな分野の本もあまり区別なく乱読していた。
自分の人生観や価値観に関して、根本的な姿勢を決める非常に重要な時期。それが学生時代だと思う。
人生をいかに生きるかは、学生時代をいかに生きるかで決まる。
もちろん社会に出てから様々な形で修正を余儀なくされたり、社会に出てからの出会いによって大きく変わったりすることもある。
しかし、この時期に理想を描くことができなければ、その人はほとんどの場合、さらに現実の中でまみれて、生きつづけるだけの人生を送るだろう。
学生時代は大人から見たら本当に青臭いくらいの夢や理想を思い描くことが必要だと思う。また、それが可能な時代でもある。
読書はそのような力を私に与えてくれたのである。
私はこの頃自分が読んだ本をノートに書き留めて「多読」を目標にしていた。
今も読書は続けているが、それほど沢山読むことはできない(やはり仕事をしながらの読書は量として、多くを読むことは難しい)。
これは学生時代の特権なのだ。この自由な時間をどのような生活で埋め尽くしていくのか、それによってその人の今後の人生の在り方は大きく変わるだろう。
私の読書の量が増えたのには三つの理由があった。
一つはゼミで毎週、課題図書の解説をしなければならなかったこと。
二つ目はサークルの後輩が色んな相談をしてくるので、それに応えようとして知識や情報を増やしていったこと。
そして三つ目は自分が好意をよせていた女性が知的なものに関心が強く、色々なことを教えたいと思うと同時に、私が彼女に尊敬されたいと思っていたこと。
いずれにしても、他人の要望や必要に応えようとして、勉強量が増えていったのだ(このような勉強の仕方が、実は自分を伸ばすために、非常に有効であることは間違いない)。
その意味でこの一年でたくさん読み、たくさんしゃべり、たくさん人の話を聞いた。私の心には溢れんばかりのたくさんの言葉があった。
この言葉が人生を切り開いていく大きな武器になることを、私はずっと後になってから実感するのである。
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