東京への空
ついに飛行機に乗り込んだ。
飛行機に乗り込む直前に、彼女は私に手紙を手渡した。
見送りに来てくれた数名の後輩達は空港の屋上に上がって飛行機に向かって必死に手を振っている。
それが飛行機の窓からでもよく見えた。
それを見ている間もなく、飛行機はすぐに滑走路を走り出し、あっさりと離陸した。隣の席にはもう知っている人間は誰もいない。
あまりにもあっけなく、彼らの姿も見えなくなった。鹿児島が小さくなっていく。大学時代のすべてが、これで終わった。
東京ではまだ住む場所さえも決めていない。とりあえずは友人の部屋に転がり込むつもりだ(この友人は中学、高校の同郷の友人で、東京の大学に進学してその後中退。フリーターになって福生市に住んでいた)。
飛行機の中で、新しい生活に対して急に不安を覚えた。
そうだ。彼女からの手紙。
見慣れた文字で書かれたその手紙を開いた。
私に対する感謝の言葉が一杯につまった手紙を読んでいたら、涙が止まらなくなった。
またいつか会えるだろうか。
そして、彼女との出会いと同じような素晴らしい出会いが、東京でも待ち受けているのだろうか。

夕日が飛行機の窓から差し込んできた。ゆっくりと目をつむり、その光を心の中で感じた。やがて、飛行機の旋回によってその光は消えた。
長いようで短かった、そして短いようで長かった大学生活。
それもこの一日で終わりを告げたのだ。
―学生時代をいかに生きるか(鹿児島編)終了―
―学生時代をいかに生きるか(東京編)に続くー
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