「いちばん大事な日本の話」　はづき虹映

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本屋（BOOK　OFF）に行ったときに、たまたま見つけた本だ。著者の名前は初めて知ったし、これまでこの著者の本は全く読んだことがなかった。日本というものについて、実にいろいろな角度からその特殊性やすばらしさや、今後の可能性が述べてある。

私はいたるところで、日本人が日本について知らないことに関する問題点について述べてきた。グローバルなどと言う言葉に乗せられて、あたかも日本について語ることが偏狭なナショナリズムであって、危険でもあるかのような論調の人もいる。

1人の人間であっても、まずは自分理解が先である。もちろん自分というものをよりよく知るためにも、他人の存在や他人の意見は重視しなければならない。他人から学ぶことはあっても何を学ぶかを決めるのは結局自分だ。また、もちろん他人は他人で尊重しなければならない。しかしそれはお互いがお互いでなくなることであってはならないはずだ。これは国家と国家の間でも同じことが言えるだろう。

グローバルなどと言うときも、その基準は誰が立てたものか、どのような基準がどこから生まれて、なぜいろんな国がそれに合わせる必要があるのか。本当に世界の各国が納得してその基準を受け入れているのか。その弊害はないのか。冷静に考える必要があるだろう。

さて、それで日本の話だが、この本では日本の地形や地理的な条件から、日本は国全体がパワースポットであると述べられている。私にはそれはどうかはよくわからないが、日本の各地域にそれぞれの特徴や役割があるということは言えると思っている。だからこそ、各地方や地域も、その個性や独自性を大切に守り抜いて欲しいのである。

また、この本は日本の美点を以下のような観点から述べている。日本が靴を脱ぐ習慣があるのはなぜか、日本人がお風呂や温泉が好きな理由、神社のシステム、日本人と「道」、日本語の独自性、ハイレベルな日本のアニメ、日本食は世界食、型の継承、日の丸の意味、日本が大切にする「間」の感性、などなどだ。

特に印象に残ったのは、日本人は型を大切にするが、その型を通して、そこに宿ったエネルギーやスピリッツを継承していくのだという主張。そして日本の国旗、日の丸はエネルギーの中心、際限なく世界にエネルギーを供給する役目を象徴しているという主張だ。これがまさに日本が長い歴所を刻んできた理由であり、今後日本が世界で果たすべき役割ではないか。

確かにこれを読むと、日本に生まれてきたことに大きな感動と喜びが湧いてくる。その意味でもここにまとめられている日本の個性を多くの日本人に知ってもらい学んでほしいし、日本とはこのような国なのだと、自信をもって伝えることができる日本人であってほしい。

本来は義務教育で、日本学として必須の学習内容であると思うのだが、いわゆる日本が嫌いな教育者や政治家は、このようなことには反対するのだろう。まず、自分の足元を知るという意味でも、郷土史やこの日本学を義務教育の科目に据えるべきなのだが、それがかなう日は来るのだろうか。それが当たり前に行われる日が来ることを願って止まない。

ただ、学校や行政などに頼ることなく、家庭での教育も可能なはずだから、親がまずはこのようなことをしっかりと学んで、子供に伝えられたらいいと思う。そもそも、この本に書かれている内容は、大方の日本人は考えたことも、学んだことも、調べたこともない内容だから、大人の啓発こそが先なのだろう。

自国について何も知らないのに、他国の言語や文化を学んでそれを売りにする風潮はそろそろやめにした方がいい。もちろん日本は諸外国の文化や素晴らしいところを否定することなく取り入れ、統合してきた素晴らしい歴史がある。

日本の文化は統合の文化であり、まさに「和」の文化である。「和して同ぜず」という言葉があるように、「和」することは「同じになる」ことではない。それぞれの個性やいいところを失わずに同居できる文化なのだ。その受け入れかたを、日本人や日本が主体的に決めてきたということなのである。

昨今では「多文化共生」という言葉があるが、これも基本的には国民国家の前提を失うことなく、日本文化を中心に他の文化の共生を図るものであって、全ての文化を横並びに並べて、全てを受け入れるということではないはずだ。このあたりを安易に考えている政治家は非常に多いと感じる。もっと多文化というものの現実を学んでほしいところだ。横並びの多文化共生は、実は分断を生み出しやすいのである。

その意味では日本人はやはり日本の概念を中心にしながら、諸外国から学び、必要なものは受け入れていく、というスタンスが重要なのだと思う。健全なナショナリズムと柔軟なプラグマティズムによる取捨選択。これが日本の生き筋であろう。この本はその中心となる概念を学ぶことのできる素晴らしい著書である。わかりやすい言葉で書かれているが、日本を知るための重要な要素がたくさん詰まっている。

（BOOK　OFFにてクーポン利用で１１０円）