数を打てば当たる

数を打てば当たる

Pocket

間奏曲―フリーターの時代―その29


そしていよいよ就職活動を始めていくわけだが、就職は結婚相手を探すのと同様の気持ちで行うといいだろう。


それはどういうことかというと、自分に合う企業合わない企業があって、採用不採用は自分の能力とは無関係に決まってしまう場合があるということである。


就職活動をしていて、一番決まらないパターンは何度か落ちていくうちに自分に自信をなくし、行動力や積極性にかげりが生じてくるパターンだ。


就職は相手(採用先)あっての事。相手には相手の要求、ニーズがある。また会社の社風もそれぞれで、すべての人が合う会社というものは存在しない。


だから、たとえ優秀でも全ての企業に内定するということはなかなか難しいわけだ。そして内定は自分が行きたいと思っている一社からもらえればいいのであって、たくさん取る必要も全くない。
その意味で相手からふられてしまったら、潔くあきらめて次のステップを踏んでいくことが必要なのだ。


もちろん何度断られても食い下がりお気に入りの異性を手に入れる人もいるが、同様のことは就職活動では、ほぼ起きないと言ってもいい。


結婚相手を探すように就職先を探す。フラれたら、また別の異性を探せばいいし、正直そのような相手はいくらでもいるからだ。


相手のニーズ、要求、相手との相性。
これは就職には必要な要素なのだ。

私の場合就職先を探し始めたのは28歳の頃からだった。
4年間ほどフリーターをやっていたし、学生時代にまともに就職活動をしたことがなかった私は、実は履歴書の書き方もよく知らなかった。


実は今は就職を探している学生や転職を考えている社会人の人を面接する立場にある。
その立場からの視点も交えて当時の私の就職活動を振り返ってみたいと思う。


私の情報源は転職雑誌だ。当時は今のようにインターネット上に就職をサポートするサイトなどはなく、ほとんどがペーパーによる情報だったので、時間がかかった。その意味では現在は就職活動は相手方企業にはアプローチしやすい環境が整っている。


私は教育関係の仕事を望んでいたが、このような雑誌にはあまり教育関係の情報は載っていなかった、というのが実情で、ページ数もかなり少なかった。


情報が少ないというのは就職活動にとってかなり不利ではある。
またわざわざ毎週出ている雑誌を購入するのさえお金の無駄だと考えて立ち読みで情報を探し、めぼしい情報がなければ買わずに帰るようにしていた。そのようなことを数ヶ月続けた記憶がある。


しかしそれでは一社も履歴書さえ送れない状況になってしまう。とにかく履歴書さえまともに書けない、そして就職の面接などの経験がない私は、少し入り口を広げてたくさんの申し込みをしようと考えた。
たくさんの会社を受けることでその会社を練習台にしようと思ったのである。それはかなり有効な手段だった。私は非常なあがり症で面接を受けた経験はアルバイトの面接のときのみで、何の知識もなかった。面接の練習なんてやったこともない。
正直に言って「面接のマニュアル本」などの存在も全く知らず、履歴書の正しい書き方も知らなかった。


履歴書は文具店から買ったものを使って、その履歴書に記入の見本が付いていたのでそれを参考に記入していたくらいだ。そして・・・


面白そうだと思った会社に次から次へと入社試験の申し込みをしたのである。業界は完全にバラバラ。業界研究なんて全くしない。する術も、する気もなかった。一次の筆記試験は今のようにSPIなどではなく、一般の教養試験だったが、それは本屋で一冊だけ問題集を購入して対応した。
電話をかけて、履歴書を送る。面接に出かける。


就職活動は「勇気」と「行動力」が全てだと思う。私は自分の就職活動に際しては、小手先のノウハウや、マニュアルなどは一切使わなかった(そもそもそんなもの知らなかった)。自分が今まで経験してきたこと、学んだことの全てを出して「不合格」ならそれでもいいと思っていた。

業界や職種もあまり深くは考えずにどんどん履歴書を送り、試験を受けてみた。


色々な準備を十分に行ってから就職活動をする。
そんな考え方も当然あるし、準備力は就活には重要だ。
しかし当時の私には準備をするにも情報もなく、アドバイスをしてくれる人もいなかった。
そこで、苦肉の手段。数をこなして経験知を増やしていったのだ。


正直なところ、就職はやはり出会いであって、必ずしも資格や能力、履歴、学歴では評価されない側面が非常に重要であると感じる。


フリーターだった当時の私はそんなことは知らなかったが、どこかに自分でも採用してくれる会社があるはずだと信じていた。

Share this content:

投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

すべての投稿を表示

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Proudly powered by WordPress | Theme: HoneyPress by SpiceThemes