恋愛と説明不能な感情と後悔
「ショパンの会」では時々は部室以外での居酒屋などでもコンパ(飲み会)を行っていた。その日は夜遅くまでみんなで飲んで、電車もなくなり、歩いて帰ることになった。
近くに住んでいるメンバーが少しずつ帰っていき、遠くまで歩いて帰るメンバー数名と話しながら歩き続けた。
その中に「彼女」もいた。
私と彼女の住んでいる場所は、そう遠くはなかったし、方向も同じだったので家の近くまで一緒に歩いた。
もちろん他のメンバーもいたのだが、私は彼女に声をかけた。
「話したいことがあるから、少しの時間付き合って」とはいっても、勇気をもって告白しようなどと思っていたわけではなく、今の気持ちをそのまま伝えるいい機会だと思ったのだ。
そのような場を作れる機会が偶然やってきたということだ。普段は部室には多くの他のメンバーがいるし、二人だけで話せる場はほとんどなかったから、この時以外には直接話す機会はそう何度も来なかっただろう。
彼女は少し驚いた風だったが、一緒に歩いていた通りに面した公園まで付き合ってくれた。
他のメンバーとはそこで別れた。
砂場の脇に二人で座って、話し始めた(ベンチがあったのに、なぜ砂場の脇に座ったのか、全く理由は憶えていない)。
私は自分の気持ちをストレートに表現できず、かなり回りくどい言い方をしていたようだ。というより、単に好きというには私の気持ちは複雑すぎた(めんどくさい男だ)。
ただ、私が「彼女」を「好きだ」ということははっきりと伝えた。その中には様々な思いが込められてはいたが、その言葉を言わなければ、あいまいになってしまうと思ったからだった。
彼女はただただ驚いていた。全く予想外だったようだ。
彼女にとって私は、たくさんの本を読んでいて知識の豊富な頼れる先輩であり、なんでも話せる対象、先生のような存在だったのだと言う。
そのような人間がいきなり「告白」?してきたのだから、気持ちが動転したようだった。
彼女の中には私に対する尊敬や親しみはあったのだが、恋愛感情はなかった?のだと思う。
ただ、彼女の反応や言葉から「拒否することで先輩との距離が遠くなることは避けたい、先輩とはずっとつながっていたい。しかし、彼氏という関係とも違う」という割り切れない気持ちが伝わってきた。
私はこのとき、彼女に告白したことを後悔した。
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