初任給が低い日本で ―お金のインテリジェンス入門編(その2)-

初任給が低い日本で ―お金のインテリジェンス入門編(その2)-


就職する際に給与を気にしない人はいないだろう。また、休日の規定について、そしてその会社の福利厚生などはどうなのか。このようなことを調べて、仕事が特にやりたいことでもないが、やりたくない事でもない、というならばその会社を選んだりすると思う。

前回、日本人の給与は格差がこれから大きくなり、政府の政策が大きく変わらなければ(これは絶対に若い人の力で変えて欲しいのだが)低水準で推移することは間違いのないことだ、と述べた。全体として日本人はこれからますます貧しくなっていく。

日本人の若者の初任給が、世界の先進国では最低水準であることは知っているだろうか。日本では、年収平均260万円程度。スイスなど最も高く800万円を超える。アメリカは600万以上、ドイツでも500万超え、フランスが400万くらい、シンガポールや韓国が300万円弱だ。悲しいくらいに日本人の所得は低い。

これを増やすには政府の財政政策を変えるしかない。これについては他のところで何度も述べているので、学んでほしい。国民が真実に気がつけば変えることができるが、何せ日本人は自分では学ぶことなく、与えられた環境に順応し、あきらめてしまう。これが問題なのだ。

それは置いておいて、求人票をみたり、給与の内訳をみたりする時から、お金のインテリジェンスは必要とされる。求人票や給与明細などを見る時にも、もともとの給与額から何が引かれているのか、年金や税金の仕組みはどうなっているのか、このようなことに興味を持ってほしい。これもまた多くの若者は(若者だけではないが)、そのあたりを調べることをしない。だんだんと引かれる金額が大きくなっていることも、仕方ないとあきらめて受け入れる。手を打たないわけである。

お金についてはまずは、会社の中でできるだけ高い給与や賞与をもらえるように努力したほうがいいことは間違いない。会社というのは簡単には皆さんをクビにできない。また業績が悪化しても給与を下げるのは難しい。だからこそ内部留保が多くなり、大企業ほどため込んでいるが、これはみなさんを将来も雇い続けなければならないからだ。その保険なのだ。だから会社の給与は大きくは上がらないし、実際に会社は上げることはできないのである。

そうなると引かれる方の金額を調べて、そこに手を打つということを考える必要が出てくる。サラリーマンでも引かれる金額を少なくすることができるからである。そのためには、給与から引かれる社会保険料や税金に関する知識が必要になる。まずはこれに興味をもたなければならない。

私はある公立大学で求人票の見方などの基本的な労働法制の講座を行っている。このような講座を行う大学は珍しいのだが、学生たちに税金や年金や休日や労働時間などに関する基礎知識をつけさせることは良いことだし、非常に重要だと思う。普通は多くのの学生はこのような基本的なことも知らずに社会に出ていくのである。

今後は会社は、給与を抑えて、会社の存続を図ってくるだろう。また年俸制やそもそも賞与のない会社なども増えてくるに違いない(賞与の支払いは企業の義務ではないから、そもそもなくても文句はいえない)。それ以上に社会保障費や税金が上がってくることが予想されるから、そのようなものに対する知識があるのとないのとでは、大きく差が出てくることだろう。

従って、まずは年金や税金などの日本の基本的な制度については知っておく必要があるということだ。それについて調べるくせをつけておくといいだろう。

Share this content:

投稿者:

山道 清和

日本の未来への発展と繁栄のために、日本の学生には自分から学び、考え、自分の意見を持つことのできる人材になって欲しいと心から願っています。就職や公務員試験に関する相談も受け付けています。遠慮なくどうぞ。

すべての投稿を表示

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Proudly powered by WordPress | Theme: HoneyPress by SpiceThemes