専門学校の求人に挑む
間奏曲―フリーターの時代―その30
景気の悪化は続き、私はすでに28歳だった。書類で落とされることもあり、筆記試験で落とされることもあった。面接までこぎつけてそこで落とされることもあった。そのような期間が何ヶ月も続いた。
基本的には、教育関係の仕事を探していた私は、転職雑誌を毎週立ち読みしていた。この分野では学習塾の求人が最も多かった。私は小学生、中学生などを相手にするのは少し自分のやりたいこととは違う気がしていた。もちろん塾にも応募したりしていたが、なぜか採用されなかった。
私はもっと高い年齢層を相手にする仕事がしたかったのだが、実は教員免許も持ってはいなかったので、実際は八方塞がりで、その可能性はほとんどなかっただろう。
塾は教員免許が不要なのだが、私は高校生に教えられるだけの学力が自分にあるかについては自信がなかった。また、大学受験のための勉強を教えることに対しても、やや違和感があった。
そんな時、ある専門学校の求人を見つけたのである。
専門学校といえば高校よりも難しいかもしれない、ただ私には学生時代に多少学んだ法律の知識(一応司法試験のレベルまでの勉強)と数多くの読書で身につけた多少の教養がある。と自分では思っていた。
この専門学校の求人に応募してみることに決めたのである。無謀な挑戦だろうが、駄目でもともとだと思い、とにかく履歴書を書いてその専門学校に連絡をしてみた。
この専門学校の求人に応募する前には、大手通信教育会社に応募し、書類審査で落とされていたので、可能性はほとんどなかったかもしれない。
しかし、とにかく受けるだけは受けてみようと思った。正直に言って、筆記試験や面接試験に関して、特別な準備は一切できなかった。ほぼ一日中働いていたからだ。
しかし、今の自分で受け入れられなければそれはそれまで。またアルバイトを続けるしかない、と覚悟した。
この頃は景気が悪くなり、この不況が長引きそうな雰囲気だった。またいつまでもこのような生活をしている自分を両親は心配していた。
数週間前も銀行に勤める兄から電話が来て、ずいぶんと苦情を言われていたのだ。
周囲の人の心配、プレッシャー。
社会情勢の悪化。
これ以上フリーターを続けることはかなり大きなリスクを伴うことは明らかだったのだ。
就職はしたいのだが、なかなか見つからない。見つかっても落とされる。
このチャンスは逃したくない。しかし、就職するためにどんな準備をするべきなのかわからない、こんな状態で採用試験を受けたのである。
一次試験は説明会と筆記試験、適性試験が行われた。
Share this content:
コメントを残す