学校行事の効用
学生時代をいかに生きるか ―専門学校教師編―その25
専門学校の講師になってから、私にとっても気晴らしになったのは、学校で行なわれる行事の時であった。各学期に球技大会が行われ、体育祭や学園祭もあった。それ以外も就職関連の行事や入学したばかりの学生向けには旅行があったりした。またなぜだか、各学校の野球部が試合を行う野球大会があり、それを学校を挙げて応援に行く行事もあった。
普段は、学習面でしか学生のことを見ていないので、普段の教室では見られない学生の顔を見ることができ、それはそれで楽しいのである。また、このような行事はうまくやることができれば、クラスの団結を強めることができて、それが学習面にプラスに働くことも多い。
学生にとっては気晴らしのようなものであるが、このような行事ごとは真剣に取り組めばそれなりに何かを得ることができるもので、クラスの中心になって取り組んでいた学生にとっては特に、とてもいい経験になったのではないだろうか。
また、完全担任制だったこともあり、学生の要望に応えて、クラス内だけでレクリエーションを行うこともあった。近隣の施設に遊びに出かけたり、自分たちで体育館を借りてバレーボール大会をやったりしたこともある。
その意味では、わりと担任の裁量で色々なことができる学校だった。もちろん昼間に授業の時間を使ってやるのである。私が4年制の学科を担当したときなどは、月に一度は学生の企画でレクリエーションをやっていた。普通の学校ではなかなかここまで自由はきかない事だろう。学校もおおらかで、上司からも文句を言われたことなど一度もなかった。
一見、行事などには消極的に見えるような学生が、球技大会の時は早い時間に会場に来て、クラスに交じって遊んでいる様子は見ていてほっとするものがあった。行事の効用というのは大きいものだと感じた。このような行事をきっかけにして仲良くなったり、お互いのことを話すようになった学生も多かった。
もちろん就職関連の行事などは、職員も準備が大変で、それを授業以外の時間に会議を繰り返しながら内容をつめたり、準備を進めたりしなければならず、忙しかった。専門学校の講師と言っても授業だけやっていればいいわけではなく、行事の当日は色んな役割があり、色々な問題や運営にも関わらなければならなかったから、大規模な行事や失敗の許されない行事の時は本当に大変だった。
もちろん学校行事と言ってもなかなか参加しない学生もいる。それに対しては特に強制するでもなく、当日はただ欠席扱いして、何も追及はしなかった。学生ももう子供ではないわけだから、それでよかったのである。しかし、概してこの学校行事は、学生にとても、クラスにとっても非常に有効に働いていたと思う。
一緒にスポーツをやったり遊んだりすることは非常に重要であると思う。特にこの学校で講師の仕事をやり始めてから、その必要性や重要性は強く感じたものだ。学生時代には様々な行事の運営や参加を他の学生と一緒に行い、それを通じてコミュニケーションを取ったり、一緒に作業を行って協力したりすることで磨かれるものもあるのである。そのような意味では、この学校は学校行事をうまく使っていたと思う。
私自身は、自分が色々な行事の運営の責任者をやる経験もできて、仕事の仕方が身についたし、仕事能力がかなり高められたと思っている。管理職になってからは特に、そのような意味で若い職員を使いながら、行事を成功させるやりがいは、とても楽しく、貴重な経験だったのだ。
学生も、学校で様々な行事があったり、イベントが開催されたりすると思うが、それに積極的に参加するといい。そして何よりもそれを運営する側の経験をすることが非常に大きく役に立つ。些細な事であっても、運営する側、仕掛ける側に回るのだ。大学などではそのような機会は探せば得られるはずだ。
そのような機会が多かった学生たちは、やはりその成長が著しく、就職活動においても自信をもって進めることができるはずだ。実際に専門学校で見ていても、学園祭などを行う際にクラスの中心になり、意見を出し、責任をもって行動できた学生たちは、希望の就職先に決まる率は高かったと思う。
与えられた機会を、自分の経験値を増やし、自分の考えや思いを発信して仲間を巻き込んでいく経験は、どこにおいても大きな価値を持つことだろう。
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