天と地をつなぐもの
大学生にもなると、社会との接点や、学問的な研究を通じて、様々な物事の現実を知ることになる。
というより、大学生は、大学での学びを通じて、そして社会活動などを通じて、世界や人間の現実を知る必要がある。
これまで教科書で学んだことが建前にすぎず、現実はそのようなものではないことを知ることが大切だ。
むしろ、このような現実を知ることが、大学生の学びには必要なのだ。
例えば、これまで教科書では、三権分立が日本の政治構造だと教わったはずだ。
国会は国会議員が立法を行う、立法府であると。
しかし、現実はそうではない。日本の法律のほぼすべては、各省庁の官僚である官吏(行政官)が作っている。公務員試験に合格した公務員が法律を作っているのが現実だ(ちなみに行政官は日本国憲法上の公務員ではない。選挙で選ばれているわけではないからだ)。
簡単にいうと、国会議員は法律を作る力などない。彼らのほとんどは、勉強不足で自分が国会議員であり続けるための保身活動に必死であり、また自分が属する政党の党利党略のために動いている。
国会とは何か、という現実を知ると、これまで学んだこととの違いに愕然とするだろう。
また、若い人が働きたいと思っている国際機関。最も大きいものは国連だろう。
国連がどのような組織なのか、どのような活動を行っているのか、現実を知ると幻滅することは間違いない。表向きのきれいごとの裏で、その腐敗ぶりには驚くことだろう。ここでは詳細は述べないが、是非色々な情報を集めて学んでほしい。
ほんの一つの例に過ぎないが、ここではお薦めの本を一冊紹介しておこう。
このような本を読んで学び、世界や社会の様々な現実を知ること。これが学生時代には重要なことだ。
この他にも無数に、学生がこれまで学んだことと現実、が違っていることがあるはずだ。世界の現状もしかり日本の現状もそうだ。
もちろん、現実を知って絶望しろなんて言っているわけではない。それによってしっかりと地に足を付けた学問をして欲しいのである。そして自分なりの理想を抱いて、その現実と戦って欲しいのである。
人間はこうであってほしいとか、こうでなければならないとか、そのような理想や理念がある。しかし現実はなかなかそうはなっていない。それは人間が、不完全な存在だからである。
そこで現実にまみれて理想や理念を失い、現実に流されるだけの人生を送るのか。それとも逞しく現実を生き抜きながら、少しでもその現実を理想に近づけるべく頑張るのか。
人間が天と地の間に生きている理由は、現実を理想に近づけるための役割があるからだ。地上の在り方を天の方向に近づけるためである。そして人間は地に足をつけたところから、それを始めるしかない宿命を背負っている。
そのために、現実を知ることだ。そこからスタートする足場を、学生時代に築くのである。
現実を知るための学びを忘れることなく、それと同時に理想を描く努力も忘れることなく、「天と地の間に生きるもの」の使命を果たさなければならない。
天に理想があり、地に現実があるのなら、それをつなぐ役割を果たすのは、あなたしかいないのである。
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