大切な二つの方向
司法試験の勉強は私にとってとてもいい経験になった。しかし、いい経験などと言っているうちは、試験に合格することはない。
私はもともとかなり気が多く、飽きっぽい性格だ。
ひとつの物事に集中するより、いろんなことに目が行ってしまい興味や行動が分散していく。
司法試験一本に絞れず、色んな分野の本を読むことに時間を使ってしまう。そんな感じで、一気に物事を達成することが苦手だった。
本を読むにしても同時並行で何冊もの本を同時読みする。
このような性格はなかなか直らないもので、当時も今もあまり変わってはいないかもしれない。
ただ、必要な時期にやるべきことを一本に絞り、そこに全力を投入していくという経験は学生時代には必要だと思う。
そうしてこそ初めて自分の限界や壁にぶち当たり、成長する機会を与えられるものだ。
私は司法試験に全力で向かっては行かなかった。
合格はできてもそれはまだ先のことだと思っていたし、難しい試験なのだから何年もかけるのが当たり前だと思っていた。
それがいけなかった。絶対に今年、と思って臨まなければ、決していい結果を出すことはできないだろう。
私の持っていた分散型の行動様式は自分の世界を広げて、様々な異質の経験や勉強をすることを可能にはしたが、やるべきことを一点に絞り込んで全力を投入していく集中型の行動の妨げになった。
学生時代にはできればこの分散型と集中型の双方を身につけることができれば理想的だろう。
この二つの方向性をバランスよく取り入れることで誰しも偏りのない無限の成長が約束される。
このように考えることができるようになったのは学生時代から10年ほど後のことである。
当時の自分にこのことを伝えたい。
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