勉強して先輩に叱られた話
大学に入学してしばらくするとあるサークルに入部することにした。 音楽系のサークルだ。確か、「ニューミュージック同好会」みたいな軽い名前のサークルだったと記憶している。
新入生が入部した初日にさっそくコンパ(飲み会のこと)が開かれた。正直に言えば、例えばコーラス部や吹奏楽部などのように、真剣に音楽に取り組むというよりも、ギター片手に好きな音楽を奏で歌い、みんなで集まって酒を飲む というような不埒な(笑)サークルだった。
コンパではいきなり鹿児島の焼酎(芋焼酎)をなんの配慮なく大量に飲まされ、吐いた。 これが大学生なのだろうが、この時はさすがに疲れた。こんな風にして過ごす日がかなり多く、その気になれば毎日がお祭り。そうやって暇な日常をつぶすこともできる。
私は入学当初もその後も単位を取得する必要のある授業はきちんと出ようと決めていて、必要な時は図書館で勉強していた。そのことで先輩にいちゃもんをつけられたことがある。 授業以外にも時々図書館などで勉強や読書をしていた私のことを知っていたその先輩は、ある飲み会の帰り道にこんな忠告をしてきた。
「お前はなんだか図書館とかで勉強をしているみたいだが、大学に来て勉強するなんて馬鹿なことはやめろ。もっと遊べ」
「え、あ、はい。すみません」
なぜだかそのとき私は謝ってしまったのだが、それほどまともに勉強する学生が異常な扱いをうけるような雰囲気があった(実際に試験直前以外は、図書館はいつもガラガラだった)。
私はこのような雰囲気の大学の中でこれから一体どのように4年間を過ごして いくべきなのか真剣に考えさせられた。 サークルやコンパなどはそれなりに楽しかった(飲酒は苦しかった)のだが、同時にひどいむなしさも感じていた。この状態で4年間はないだろうと思った。 人間関係もうわべだけの軽薄さがもっぱらで、お互いのことを深く話したり理解しあったりする場が少ない。
今の大学生たちは学生生活をどのように感じているのだろうか。 たくさんの「語る場」を持っているだろうか。少なくとも「語る相手」を持っているだろうか。共通の「語ることがら」を有しているだろうか。 それとも今でも、うわべだけの付き合いの人間関係の中で、虚しさを感じているだろうか。
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